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2025/12/11 ,

過疎の学校だからこそ リニアかすめる日本一小さい「町」

過疎の学校だからこそ リニアかすめる日本一小さい「町」

 「大きい学校だとあまり味わえないものだと思う」。全校児童わずか6人の山梨県早川町立早川北小。4年生の池田昇志朗(しょうじろう)さん(10)は、文化祭と運動会を兼ねた「わらべどんぐり祭り」をそう表現する。
 早川町は南アルプスのふもとにあり、人口わずか807人(12月1日時点)。日本一、人口の少ない「町」だ。
 「祭り」は周辺の小学校の統廃合が進んだ約半世紀前から行われている。小学生の時に祭りに参加した深沢順美(よしみ)教諭(64)によると、当時は100人ほどの児童がいた。人数が少なくなってしまったが、学校の先生も子どもたちも工夫して祭りを楽しんだ。
 町内を南北に流れる早川には昭和30年代、次々と水力発電所が建設され、人口は1960年の国勢調査で1万679人に上った。しかし、その後は水力発電所の無人化などで人口減少が進んだ。
 一方、過疎の町に新たな風も吹こうとしている。町内でリニア中央新幹線の工事が進んでいるからだ。山あいに長さ約400メートルの橋が建設され、地上を通過するのは一瞬だ。ただ、リニア工事の残土を使い、隣の市とを結ぶ新たな道路もできる予定で、観光などで訪れる人の増加を期待する声もある。
 「祭り」の中では、児童たちが同町新倉に伝わる民話をもとにした劇も披露した。民話劇の題名は「てこ萬太郎」。少し意地悪な力自慢の男が誤ってクマのワナに閉じ込められてしまう。村人たちが助け、男は力を誇示するのをやめ、村のみんなと仲良くなるという話だ。力自慢の男の役を演じた6年生の上原万傘(まかさ)さん(12)は、「みんなと協力して助け合って成功できた」と笑顔で話した。
 同校で長年にわたり子どもたちを見守ってきた深沢教諭は「民話を通して地域に昔から伝わる文化を継承することは、広い世界を知る土台になる。ここで学んで良かったなと将来思ってほしい」と穏やかなまなざしを向けた。【写真・文 渡部直樹】

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