中部横断自動車道の山梨―静岡間(74.3キロメートル)が29日、全線開通した。南部インターチェンジ(IC、山梨県南部町)―下部温泉早川IC(同県身延町)間13.2キロメートルの供用が同日午後4時に始まった。山梨・静岡両県のアクセスが向上し、両県庁間は1時間35分と一般道を利用した場合より70分短くなる。物流の効率化や観光客の回遊を促すことなどが期待される。
29日午前、身延町の身延山IC付近で開通式が開かれた。一般車両の通行は午後4時に始まった。山梨県の長崎幸太郎知事は開通式で「清水港や富士山静岡空港へのアクセスが向上し、山梨県の経済の活性化に計り知れない効果が期待され、山梨・静岡両県の交流を一層深めることになる」と述べた。
また「山梨県が推進する『やまなし水素・燃料電池バレー構想』と静岡県や中京圏の自動車産業との連携も十分に視野に入る。中部横断道はほかの高速道路とあわせ、太平洋と日本海とを結ぶ重要な高速道路。さらに真価を発揮するには、残る山梨―長野間を確実につなげることが重要だ」と強調した。
静岡県の川勝平太知事は「開通により文字通り富士山一周ということになった。富士山の表玄関を預かる静岡県と富士山の奥座敷の山梨県との一体感が一段と深まる。中部横断道は富士山や南アルプス、中央アルプス、北アルプスといった絶景を楽しむ道路。絶景空間を楽しむ道が大きな一歩を踏み出した。医療・健康産業や水素エネルギー産業でも連携を深めたい」と応じた。
中部横断道は新東名高速道路とつながる新清水ジャンクション(JCT、静岡市)から中央自動車道の双葉JCT(山梨県甲斐市)までをつなぐ。19年3月に富沢IC(同県南部町)―新清水JCT間の20.7キロと、六郷IC(山梨県市川三郷町)―下部温泉早川IC間の8.4キロが開通し、同年11月には南部IC―富沢IC間の6.7キロが開通。21年4月には国道138号バイパスと新東名高速の一部区間が開通し、東富士五湖道路を挟んで中央自動車道と新東名高速がつながっている。