山梨県は20日、富士急ハイランド(富士吉田市)のジェットコースター「ド・ドドンパ」で2020年12月以降、乗客計4人が骨折する事故があったと発表した。原因が究明され再発防止策がとられるまでの運行停止を求め、富士急ハイランドは同日、点検のため12日から運行を休止したと明らかにした。
県によると、20年12月から21年8月にかけて、ド・ドドンパに乗車した30~50代の男女4人が、首や背中の一部を骨折するなど、全治1~3カ月のけがをした。県は事業者に対し、国土交通省の基準に基づき、死亡事故や30日以上の治療が必要なけがをした事故などの報告を求めているが、富士急が報告したのは8月17日だった。県は報告の遅れについて行政指導するとともに、21日に、建築基準法に基づき立ち入り調査する。
ド・ドドンパは17年にジェットコースター「ドドンパ」を改良した人気アトラクション。スタートから69メートル、1・56秒で時速180キロに達する。地上49メートル、直径39・7メートルのループは世界最大級とされる。
富士急によると、乗車の際に体への負担が大きく、乗客には正しい乗車姿勢などを説明し、注意を呼び掛けている。20年12月に乗車した30代女性から、けがの申告があったが、女性が「乗車した際に前傾姿勢をとったかも」と話し、機器にも問題がなく、けがとの関係も確認できなかったため、県に報告しなかった。21年5月と7月にも同様の申告が相次いだため、メーカーを交えて点検したが機器の異常はなかった。しかし、8月2日に乗車した30代男性からも骨折の申し出を受け、この時も機器の異常はなかったが、負傷の申告が続いていることから運行を止めることにし、県に報告した。それぞれが乗車した座席は異なるという。【田中綾乃】