絶滅危惧種で長野や山梨の県天然記念物に指定されている高山チョウ「ミヤマシロチョウ」の観察会が18日、長野県の浅間連峰にある烏帽子岳であった。数匹を見ることができ、標高2000メートルを超える小烏帽子岳山頂では、アザミの花の蜜を吸う姿を観察した。
調査や保護活動をする「浅間山系ミヤマシロチョウの会」などが開き、約20人が参加。山道を2時間近くかけて登った。
このチョウは、モンシロチョウより少し大きく、白い。長野、山梨、群馬、静岡の各県の高山帯各地に生息していたが、最近は南アルプスの奥地と浅間連峰の限られた場所でしか見られない。成虫が蜜を吸う花がシカに食べられたり、幼虫が葉を食べるヒロハヘビノボラズという木が、観光や別荘地開発などで伐採されたりしてきたことが理由。木がまばらな場所を好むが、地球温暖化の影響か、密生する森が標高が高い所まで広がってきたのも原因の一つだ。
観察会で解説を務めた同会の花岡敏道会長は「現状を知ってもらい、保護につなげたい。減少の理由が人にあるなら、人はできることをしなければ。ただ、私たちのような市民だけでは生息地を守れない。林野庁や環境省、自治体による対策が必要だ」と話した。【去石信一】