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2022/05/13 ,

スマホで手軽、森林調査アプリ 地形や樹高を測定 防災活用に期待

スマホで手軽、森林調査アプリ 地形や樹高を測定 防災活用に期待

 森林の地形や立木の樹高などの測定をスマートフォン一つで手軽にできるアプリケーションが登場し、山梨県小菅村の民有林で現地講習会が開かれた。調査はこれまで、急峻(きゅうしゅん)な山に登り人海戦術による実測に頼っていたが、林業の省力化のほか防災にも応用できることから、参加者からは注目と期待の声が聞かれた。【山本悟】
 アプリは、森林の測量、管理などを手がけるマプリィ(兵庫県丹波市)が開発。レーザー放射器を搭載した市販のスマホやタブレットを活用し地上からレーザーを照射、対象物の反射波を観測、形状や大きさなどを測定する仕組み。樹木の高さや直径、体積も計測でき、樹木までの水平距離や土地の傾斜角も測定。多くのレーザー画像を合成することで三次元の立体画像を作成でき、地形や起伏の状態など、動画を撮影する要領で各種データが得られる。遠方に見える尾根や谷の複数の定点を登録し、GPS(全地球測位システム)の位置情報とつなげることで、上空から見た周辺地域の地形を立体画像で表現することもできる。
 危険な場所に立ち入らずに亀裂や小崩落などを捉えることもできるため、ハザードマップの作成など防災面での活用も期待され、マプリィは国内の複数の国立大学と共同研究している。森林管理署や自治体、建設会社などでも活用されている。
 これまで森林の計測は、急峻な山を何人もの作業員が方位磁石や三脚測量機などを担いで登り、樹木を1本ずつ計測するなど、体力を消耗し、危険を伴う作業を強いられてきた。さらに多摩川源流域の小菅村では水源地保全のため、大規模伐採、大量植林など効率的な木材生産ができず事前の調査は一定面積ごとに人手をかけてきた。
 そこで、村や相模川上流域の道志村などを管轄する北都留森林組合(山梨県上野原市)が開発されたばかりのアプリを購入。4月25日に村内のヒノキ林で開催した講習会には、県内の森林組合や東京都森林組合、林業家や県などから、予想を超える約30人が出席した。
 北都留森林組合では、効率面で足かせの多い水源地の人工林を環境保全している木材生産地としてブランド化し競争力を高める意向だ。担当者は「若い人材の新規参入を促し、省力化した分を新たな事業展開に生かしたい」と期待する。
 首都圏の林業地での山仕事を請け負う合同会社経営、山根嘉八さん(50)=東京都西東京市=は「調査からデータ管理など多用途で活用でき、格段に生産性を向上できる。林業はイノベーションの時代を迎えている」と話した。

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