内陸のいわゆる「海なし県」でエビやフグなどの海の幸を育てて出荷する陸上養殖が盛んになっている。軌道に乗れば安定的な収入が見込め、地域振興にもつながる。専門家は「人口増で食料不足が懸念されており、陸上養殖は世界的に投資の対象になっている」と話している。
富士山を仰ぎ見る富士吉田市の住宅街。倉庫のような建物の中をのぞくと、30~50トンの水をたたえた大型の水槽が並び、体長15センチぐらいに育ったバナメイエビが元気よく泳いでいた。運営する水産会社「海山」では岩塩を溶かした人工海水を使い、年間40万匹ほどを養殖している。
水温を26~30度に保つため光熱費がかかるが、実際の海で育てるのと比べて収穫や出荷が簡単で、台風や赤潮など自然の影響もないといったメリットがある。エビはネットで販売するほか、直営の飲食店で刺し身や天ぷらにして提供する。新鮮でぷりぷりとした食感が好評だ。