帝国データバンク甲府支店がまとめた山梨県内企業の後継者に関する動向調査によると、県内企業で後継者が「不在」なのは56.0%で、2020年の調査(65.8%)に比べ9.8ポイント低下した。2011年の調査開始以来最も低く、全国(61.5%)を初めて下回った。
同支店は企業への聞き取りから「新型コロナウイルスの事業への影響をきっかけに、後継者問題に真剣に向き合う経営者が増え、後継者決定の動きが強まった。金融機関からの積極的な働きかけや事業承継税制の条件緩和なども影響した」と指摘した。
調査は同社のデータベースを基に事業承継について分析が可能な山梨県内の全業種約1800社を対象に分析した。
全体のうち新たに後継候補を選定したり、後継者に関する計画を立てたりした企業は7.7%に達し、全国(3.7%)を4ポイント上回った。
後継者の不在率はすべての業種で20年を下回った。製造業は47.8%で20年に比べ9.6ポイント低下し、不動産は53.8%で11.2ポイント、建設は60.4%で11.0ポイント、卸売りは54.9%で10.5ポイント、小売りは63.0%で7.4ポイントそれぞれ低下した。
同支店は「製造業は人工知能(AI)を使って新たなモノを生み出すなどのチャレンジがみられ、後継者に託そうという機運がある。一方、先行きの見通しが立たない業種の経営者からは『引き継がせたくない』との声も聞かれた」としている。