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2021/11/30

静岡・甲信の4信金連携、中部横断道で中小取引後押し

静岡・甲信の4信金連携、中部横断道で中小取引後押し

中部横断自動車道の静岡―山梨間が8月末に全線開通したことを受けて、静岡、山梨、長野の4信用金庫が30日、商談会の開催や顧客のマッチングで連携協定を結んだ。交通アクセス向上を生かし、主に各県内で活動する取引先中小企業が県境を越えて連携することを促し、各地域の経済活性化につなげる考えだ。
しずおか焼津信用金庫(静岡市)と甲府信用金庫(甲府市)、山梨信用金庫(同)、諏訪信用金庫(長野県岡谷市)が同日、「しんきん中部横断道コネクト」を結んだ。
同日甲府市内で開いた調印式で、甲府信金の小田切繁理事長は「中部横断道の開通による地理的メリットを生かしながら、4つの信用金庫が密に連携を図ることで、取引先を後押しできれば」と話した。諏訪信金の今井誠理事長も「高速道整備は地域間の人の交流やモノの流通を拡大させて、地域の新たな成長の起爆剤になる」とした。
4信金は共同で商談会を開いたり、各信金で開催する商談会に参加したりすることで、顧客同士のつながりをつくるほか、各信金の顧客支援ノウハウを伸ばす。清水港(静岡市)の活用を提案することで中小企業の輸出へのニーズの掘り起こしも図る。
4信金はこれまでも、しずおか焼津信金が2003年から年に1度開いてきた「ビジネスマッチング商談会」への参加や、そのガイドブックへの掲載企業の募集で協力してきた。
協定に先立って11月27~28日に静岡市で開催された「産業フェアしずおか2021」では、しずおか焼津信金が音頭を取って山梨信金、甲府信金、諏訪信金の取引先18社のワインや菓子など140品目を集めたブースを出展。静岡県内の百貨店との商談につなげた企業もあった。
「中央日本四県」と呼ばれる静岡、山梨、長野、新潟の4県では近年、産官金による連携が加速している。コロナ禍で感染拡大地域への移動が制限される中、近隣県で消費を高める取り組みとして動きが顕在化したためだ。この動きを今回の中部横断道開通による交通アクセス向上でさらに加速させる。
4信金の連携には取引先である中小企業同士の直接取引を増やす狙いがある。県外への情報発信や販路拡大に意欲的な企業でも、利幅が小さく数量を求められる大手との取引には手を出しにくい場合がある。地域を絞った中小企業同士の商談機会を設け、各信金の担当者がより広範囲の企業を紹介できる体制とする。
顧客からの期待も高い。しずおか焼津信金が9月に取引先345社を対象に実施したアンケート調査によると、76%が「中部横断道開通に期待している」と回答した。特に「物流の効率化・所要時間の短縮」、「甲信越地方との新たな商機」に期待する取引先が多かった。
しずおか焼津信金の田形和幸理事長は記者会見で「商圏を広げていくには信用金庫同士の連携が大切。顧客のためになることを大前提に考えていきたい」と述べた。

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