山梨県富士山科学研究所(富士吉田市)などは6日、富士五湖に次ぐ「第6の湖」として大雨の後、まれに富士河口湖町に出現する「赤池」について「主に直近の降雨で形成されていた」とする分析結果を公表した。これまでは、地下で精進湖(同町)とつながり、水位上昇に伴って現れるとされてきたが、従来の定説に科学的根拠を突きつけた形だ。
赤池は、大雨が降ると精進湖から東側に約1キロ離れた国道139号の瀬々波橋付近に出現する湖沼。普段はくぼ地だが、地下でつながっているとされる精進湖の水位が上昇すると現れる「幻の湖」と伝わる。過去40年間に出現が報告されたのは計9回で、直近では8月に確認されていた。
同研究所は山梨大や立正大と連携し、2020年7月に9年ぶりに発生した「赤池」の水を採取し、水質や分子構成に伴うわずかな重量の違い(安定同位体比)を分析した。
その結果、安定同位体比は、同じ時期に採取された精進湖の湖水と明らかに異なり、直近の降雨に由来すると判明。また、水中のカルシウムイオンや重炭酸イオンの濃度が湖水に比べて低いことから、地下に浸透した雨水が地表近くを流れ、数日程度でくぼ地に流入したことも分かった。
同研究所の山本真也研究員(41)によると、赤池の水質やデータを詳細に分析したのは初めてで、定説を覆す重要な成果という。今後、赤池のでき方について「より研究を深めていきたい」と話している。【梅田啓祐】