山梨県内で連日40度に迫る酷暑が続いている。ブドウの産地として知られる甲州市勝沼町では4日に今年5回目の全国1番となる最高気温39・7度を記録。5日も全国で2番目に高い38・8度を観測するなど、各地で35度を超える猛暑日が続く。暑さは当面続くとみられ、新型コロナウイルスの感染拡大でも打撃を受ける農家からはブドウの成長を心配する声もあがる。【山本悟、田中綾乃】
甲州市勝沼町で50年以上ブドウ栽培を手がける古屋忠文さん(72)は「暑さには慣れているけれど、去年や今年は特に暑い」と汗を拭う。ブドウのもぎ取り体験もしているが、新型コロナウイルスの感染拡大に加え猛暑のため、例年に比べると平日の客足は落ちるという。同町のぶどう園「くぬぎ園」の功刀(くぬぎ)徳親さん(51)は、「暑すぎるとブドウの成長が止まり、酸味が抜けず甘みが少なくなる」と懸念。スプリンクラーで水をまき土や気温を冷やしているが、それでも猛暑は「手ごわい」と話す。
甲府地方気象台によると、県内の5日の最高気温は勝沼で38・8度となったのをはじめ、甲府37・7度▽身延町切石36・9度▽甲府市古関36・3度▽南部町南部35・8度――と各地で猛暑日となった。勝沼の最高気温は平年より5・3度高く、大阪市中央区(38・9度)に次ぐ全国2番目の暑さとなった。県内を対象に熱中症警戒アラートを6日までの5日間連続で発表し、暑さに厳重な警戒を呼びかけている。
勝沼では4日に、最高気温が全国で最も高い39・7度を観測し、統計開始(1977年)以来、2013年の40・5度に次ぐ暑さを記録。今年に入って勝沼で全国1番の最高気温を観測したのは4日をはじめ、7月19日(37・3度)、20日(37・9度)、21日(37・7度)、23日(37・4度)の計5回に及ぶ。
同気象台によると、県内の暑さは、関東甲信地方の梅雨明け(7月16日)後の好天続きで、太平洋沿岸部上空の暖気が太平洋高気圧の内陸部への移動に伴って、南アルプス山脈や奥秩父山系に囲まれた甲府盆地上空に流入していることが要因。また、南東から静岡県側の暖かい空気が御坂山地を山越えして勝沼地域に吹き込んだことも影響したと考えられるという。
同気象台では、この暑さは、接近している台風の動向にもよるが、ここ1週間は続くとみている。
県内の公園の水場などではコロナ対策で水が止められ、水遊びができる場所が限られており、昭和町の押原公園の親水広場には5日午前中に20組を超える親子連れが詰めかけた。笛吹市から小学校1年の長男(7)と訪れた体操指導員、雨宮由貴子さんは「子供が外遊びが大好きで、暑い日は水遊びをさせたいが、できる所が少なくて困っている。ここでは伸び伸びと遊べていい」と、噴水で遊ぶ長男の姿に目を細めていた。