伝統的な宿場町の建物に日本画を飾りライトアップする祭りが、山梨県早川町の赤沢宿で開かれました。
歴史ある街並みと、若い世代の感性が響き合い地域の新しい夢が生まれました。
早川町の赤沢宿で8月20日まで行われた油障子祭りです。
油障子は雨や風を防ぐために油紙を貼った障子です。
祭りでは築100年以上の日本家屋に油障子に描いた早川町の風景や動植物の日本画を飾り、ライトアップされると、まるで絵灯篭のようです。
赤沢宿は身延山と霊場七面山を結ぶ参道に位置する宿場町で、江戸時代から参拝するグループ、「講中」で賑わいました。
今は23世帯、41人が生活しています。
赤沢宿で生まれ育った望月利和さんです。
赤沢宿町並み保存会 望月利和さん:
昭和14、15年くらいまでは朝10時ごろから夕方4時ごろまで、客の波が途絶えなかった。白装束のですね。
油障子祭りは、赤沢宿が国から伝統的な建造物の保存地区に選ばれて30年となるのを記念して行われたもので、5年前の25周年の際、望月さんは絵を描いた油障子を飾ることを思いつきました。
赤沢宿町並み保存会 望月利和さん:
(昔)油障子をやっていたことは話に聞いていた。私自身は全く知らないが、ここは真っ暗闇なので灯りが一番似合う。びっくりするくらいきれいだった。多分日本でもこういうことができるのはここ(赤沢宿)しかないのでは。
宿場として栄えた赤沢宿の面影を残す3棟の建物に絵を飾ります。
5年前にも描いた日本画家の作品に加えて、今回は県内の8つの高校の美術部が描いた絵も飾られます。甲府南高校もその一つです。
甲府南高校美術部 橋本真季さん:
早川町の建物が古くてすてきだと思ったので、その建物を描けたらと思った。
甲府南高校美術部 千葉菜摘さん:
(赤沢宿は)全く知らなくて、制作に関わり少し気になった。
夕暮れが迫り祭りの準備が進みます。
雨戸の代わりに作品の油障子が設置され、そして灯りがともります。
訪れた人は:
とてもきれいで来てよかった。
甲府南高校美術部 千葉菜摘さん:
思っていたより色が映えて、めちゃくちゃきれいでした。
赤沢の住民は:
集落には学生はいないので、ありがたいですね、にぎやかで。
暗闇に浮かび上がる油障子…。
赤沢宿の望月さんに新たな夢が生まれました。
赤沢宿町並み保存会 望月利和さん:
できれば高校生たちにここで茶道とか華道とか俳句とか日本文化を表現してもらえる場所になっていく。今までは宗教的な講だったが、こういう文化をつくっていければ、これから楽しいのではないか。ここ(赤沢宿)は日本文化を発現する場所、表現する場所であればよいと考えている。
この夏、日本の原風景に芸術の光が広がりました。
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