山梨県が20日に発表した新型コロナウイルスの県内の直近1週間(13~19日)の感染状況によると、感染者数は541人。前週の1・38倍、3週間前からは4倍に増加。県は方針変更を余儀なくされている。
1週間の感染者数を市町村別にみると、甲府市148人、南アルプス市55人、笛吹、富士吉田、都留の3市が各41人など。県内27市町村のうち17市町村で人口1万人あたり2・5人を超え、県の患者発生警報で地図が赤く塗られる「警告」レベルとなった。
変異株のゲノム解析の結果をみると、感染力が強いとされるデルタ株が優勢になっている。7月30日~8月19日に解析結果が出た93例のうち82%にあたる76例がデルタ株だった。
県は対応に追われた。専用病床の確保数は、2日付で最高の第4段階(305床)に上げた。それでも使用率はすでに70%を超えた。宿泊療養施設(536室)も8割が埋まる。24日からは一定の条件を付けて自宅療養も行う。
予想を上回る感染拡大に人流の抑制策でも後手に回る。長崎幸太郎知事は外出自粛要請について、3日には「そこまでする必要はなかろう」と述べていたが、6日に要請に踏み切った。
14日には飲食店などへの県独自の休業要請期間がスタート。22日までの予定だったが、政府が「まん延防止等重点措置」の適用を決め、9月12日まで延びた。
県は休業要請に必要な予算89億8千万円を19日付で専決処分した。ただ、やまなしグリーン・ゾーン認証を受けている業者と受けていない業者で対応を分け、協力金の支給額などに差をつけており、人流抑制策としての政策効果が問われそうだ。(吉沢龍彦)