富士山と桜と五重塔という日本を代表する景観が国内外の観光客に人気の山梨県富士吉田市の新倉山浅間(あらくらやませんげん)公園の展望デッキが今月、5倍の広さに拡張され、リニューアルオープンした。日本と富士吉田市を代表する観光スポットで、アフター・コロナを見据えての混雑解消や観光客の安全・安心の確保につながると期待される。
同公園は富士急行線下吉田駅近くの新倉山に1959年に開園、地元の小さな公園だったが、雄大な富士山と五重塔(忠霊塔)、桜が同時に見られる公園としてネットなどで「日本の代表的風景」として広く海外にも紹介され、2019年には年間50万人を記録するなど訪れる観光客が激増している。市は観光客対策として15年度に五重塔の裏に展望デッキを設置したが、コロナ禍以前は、桜のシーズンには展望デッキに上るのに2~3時間待ちという大混雑が続いていた。
市は混雑緩和を図り、ゆっくりと景観を楽しんでもらおうとクラウドファンディングを活用し、21年7月から約1億3300万円かけて拡張工事に着手した。
デッキの面積は126平方メートルと従前のデッキの5倍。長さは約30メートル、幅4メートルで、ライブカメラスペースもある。床材は耐腐食性に優れる再生木材を使用している。クラウドファンディングは8652人から4億1258万5000円が寄せられるなど全国的にも関心が高く、目標の1億円を大幅に上回った。
リニューアルオープンの2月1日の北麓地方は晴れて富士山がくっきり姿を見せた。富士吉田市の堀内茂市長は「(新倉山浅間公園のある下吉田地区には)『昭和レトロ』を感ずる西裏(にしうら)地区もあり富士吉田を丸ごと楽しんでいただきたい」などとあいさつした。市は「世界で注目される景観を保つため桜の樹勢を回復し公園整備・維持管理を進めていきたい」としている。【小田切敏雄】