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2021/08/13 ,

武田信玄の「家臣団辞典」が人気 6年ぶり重版完売、さらに増刷

武田信玄の「家臣団辞典」が人気 6年ぶり重版完売、さらに増刷

 6月10日に6年ぶりに重版された「武田氏家臣団人名辞典」(東京堂出版)の売れ行きが好調だ。重版された300部は1カ月でほぼ完売状態となり、さらに300部が増刷された。A5判712ページに戦国武将・武田信玄の家臣ら約2500人を収めた労作だが、価格は税込み1万9800円。気軽に購入できる値段ではないが、なぜこれほど売れているのか。【田辺佑介】
 山梨県甲斐市の書店「敷島書房」では初版の20冊が完売し、客から問い合わせを受けても入手できない状態が続いていた。6月に重版が決まり10冊を仕入れたが、1カ月足らずでほとんどが売れた。店主の一條宣好さん(49)は「地元の歴史ファンは熱心な人が多く、地域にゆかりのある人物も多数収録されているので読み物としても面白い。初版では買うのをためらっていた人も今回はすぐに購入した」と話す。
 辞典は2015年5月に初版が刊行された。信玄、勝頼ら歴代当主と家臣、親族にとどまらず、商人、僧侶など武田家の関係資料に登場する人物を網羅する。東京堂出版は、公立図書館などでの需要を見込んで、初版は700部を刷ったが1年半でほぼ売り切れに。古書サイトにもなかなか出回らず、8万円の価格がつくこともあったという。重版の要望は多かったが、購入されなければ在庫となるため、検討を続けた結果、信玄生誕500周年の節目となる今年、300部の重版を決定。年内いっぱいかけての販売を見込んでいたが、6月下旬にはほぼ完売状態となり、7月中にさらに300部を増刷した。
 異例の反響に同社の担当者は、武田家の活動範囲が山梨だけにとどまらず、長野や群馬、神奈川など広範囲にわたるため、幅広く購入されたとみるが「重版がこれほどのペースで売り切れるとは。想定以上に一般の歴史ファンが買ってくれたようだ」と驚く。
 研究者の評価も高い。山梨県立博物館で5月まで開かれていた「生誕500年 武田信玄の生涯」を担当した学芸員の海老沼真治さん(43)も館の所蔵とは別に、初版を自宅用に購入した。「内容が充実しており、手元に置いておきたいというよりも、研究に欠かせない」と話す。
 同社は、戦国大名に関する文書などを集めた「戦国遺文」の出版を手がけ「武田氏編」(柴辻俊六、黒田基樹、丸島和洋編)も02年から6巻が刊行されている。辞典の記述はこうした史料などをもとに、遺文の編者と歴史学者の平山優氏が編集した。海老沼さんは、県内の旧家や寺院などで、武田家が活動した時期の史料がよく残されていることも、辞典の充実に貢献していると指摘。「戦乱や災害などがあっても、人々が武田家が活動した時代の文書を大事だと感じ、大切に守ってきたのではないか」と話す。

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