山梨中央銀行が12日発表した2021年4~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比33%増の17億円だった。経常収益は同12%減の235億円だった。銀行単体の本業のもうけを示す実質業務純益は49%減の17億円となった。
田中教彦常務は「M&A(合併・買収)の手数料や法人向けの新しい形の融資など役務取引等の収益・利益が増加したものの、有価証券利息の配当金や国債などの売却益が減少した」と述べた。
22年3月期の通期の連結業績見通しは、純利益を前期比7%増の33億円に、経常利益を同10%減の56億円にいずれも上方修正した。従来予想は純利益が31億円、経常利益が47億円だった。
山梨中銀は静岡銀行と包括業務提携「静岡・山梨アライアンス」により、5年で100億円の収益面の効果を見積もっている。田中常務は「損益計算書に反映されるのはまだ先だが、全体の30%は契約や実行という形で動き出した」と提携効果を強調した。
特にストラクチャードファイナンス(仕組み金融)や静銀の証券子会社である静銀ティーエム証券が山梨中銀本店内に拠点を新設したことによる新たな顧客の開拓、両行の事務の共通化などによるコスト削減効果などを挙げた。
また、山梨中銀は同日、22年4月の東京証券取引所の市場区分再編に伴い、最上位のプライム市場を選択し、申請すると発表した。同日開いた取締役会で決議した。現在は東証1部に上場しており、東証からはプライム市場の上場基準に適合しているとの1次判定結果を受けている。
一方、山梨中銀は同日、主要国の中央銀行や金融監督当局が主導し、温暖化対策を進める組織「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明した。同行は2019年にSDGs(持続可能な開発目標)宣言するなど金融仲介機能を通じて持続可能な社会の実現に向けて取り組む姿勢を明らかにしている。