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2021/10/05 , ,

国内景気は2カ月ぶりに改善― 2021年9月調査

国内景気は2カ月ぶりに改善― 2021年9月調査

株式会社帝国データバンクは、全国2万4,516社を対象に2021年9月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表いたしました。

<調査結果のポイント>
2021年9月の景気DIは前月比0.7ポイント増の39.9となり、2カ月ぶりに改善した。国内景気は、新規感染者数の減少や株価上昇などが好材料となり、再び上向きに転じた。今後は、感染拡大による下振れリスクを抱えつつも、緩やかに回復していくとみられる。
全10業界中、7業界が改善。新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向のなか、『サービス』『建設』『卸売』などが改善した。一方で、半導体不足や材料価格の高騰などの影響が深刻な『製造』は2カ月連続で悪化。特に9月は自動車関連の落ち込みが目立った。
全10地域中8地域が改善、2地域が悪化した。新規感染者数が大幅に減少するなか、まん延防止等重点措置が解除された6県がいずれも上向くなど、29都道府県が改善。特に都市部周辺での『不動産』の改善が目立った。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてが2カ月ぶりにそろって改善した。
2021年9月の動向 : 上向きに転じる

全国の景気DI
2021年9月の景気DIは前月比0.7ポイント増の39.9となり、2カ月ぶりに改善した。
9月の国内景気は、ワクチン接種の普及とともに新規感染者数が減少傾向で推移したほか、日経平均株価が31年ぶりの高値を付けたことも押し上げ要因となった。半導体関連の好調や、郊外での住宅購入や都市部での貸家業も堅調に推移した。輸出増加に加え、精密機械や医療機械などの生産・出荷量DIが上向き設備稼働率も過去最高を記録した。他方で、半導体不足などによる自動車減産の影響が関連業種へと幅広く波及した。さらに金属や木材などの材料不足や価格高騰が企業活動を抑制する要因となった。
国内景気は、新規感染者数の減少や株価上昇などが好材料となり、再び上向きに転じた。今後の見通し : 緩やかに回復 

今後の予測
今後の国内景気は、10月の緊急事態宣言等の解除やワクチン接種の普及とともに経済活動が徐々に正常化へと向かうとみられる。また、海外経済の回復にともなう輸出や設備投資の増加傾向に加え、5Gや自宅内消費の拡大、自動車の挽回生産、ESG投資を含めSDGsへの対応も押し上げ要因と見込まれる。さらに新政権の大規模な経済対策は国内景気の下支え要因となろう。他方、新型コロナウイルス変異株の動向は引き続き懸念材料で、感染拡大防止と経済活動の活発化のバランスが一段と重要になる。また、半導体不足や仕入価格の上昇、中東情勢など地政学的リスク、米国の量的緩和縮小なども注視する必要がある。
今後は、感染拡大による下振れリスクを抱えつつも、緩やかに回復していくとみられる。業界別:『サービス』など7業界が改善も、『製造』は自動車関連が大幅に悪化

業界別
全10業界中、7業界が改善。新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向のなか、『サービス』『建設』『卸売』などが改善した。一方で、半導体不足や材料価格の高騰などの影響が深刻な『製造』は2カ月連続で悪化。特に9月は自動車関連の落ち込みが目立った。 『サービス』(41.1):前月比2.0ポイント増。2カ月ぶりに改善。学習塾などでオンライン授業への移行がみられる「教育サービス」(同1.5ポイント増)や、デジタル化の進展が追い風の「情報サービス」(同1.8ポイント増)などが改善。ペントアップ需要を見越した広告出稿やイベントなどの開催が戻りつつある「広告関連」(同2.7ポイント増)も3カ月ぶりの改善となった。他方、「飲食店」(同0.4ポイント増)や「旅館・ホテル」(同0.4ポイント増)、「娯楽サービス」(同0.2ポイント減)は依然として厳しい水準が続いた。『建設』(43.7):同1.2ポイント増。2カ月ぶりに改善。景気DIは全10業界で最も高い水準を維持した。台風などの災害復旧工事や国土強靭化対策が続くなか、土木工事などが堅調に推移した。また、リフォーム需要やテナントの設備投資意欲が高まりつつあるなか、内装工事や給排水・衛生設備工事も大きく上向いた。一方、木材や鋼材などの価格高騰が続くなか、『建設』の仕入単価DI(同1.7ポイント増)は65.7となり、消費税率が5%から8%に引き上げられた2014年4月(65.6)以来の水準まで上昇。職人などの人手不足感も継続するなか、材料費・人件費の上昇による収益圧迫の懸念が強まっている。『卸売』(37.6):同1.0ポイント増。2カ月ぶりに改善し、2021年3月以来に全9業種が改善した。鉄スクラップなどの「再生資源卸売」(同0.4ポイント増)やプラスチックなどの「化学品卸売」(同1.5ポイント増)、木材や建材などの「建材・家具、窯業・土石製品卸売」(同1.9ポイント増)といった素材関係を中心に改善した。また、「機械・器具卸売」(同0.5ポイント増)も精密機械器具などが堅調に推移した。『製造』(40.7):同0.8ポイント減。2カ月連続で悪化。半導体不足の影響に加え、東南アジアでの感染拡大などを背景に部品の調達が困難となり、国内外で自動車の減産は長期化の様相に。「鉄鋼・非鉄・鉱業」(同1.3ポイント減)や「化学品製造」(同3.1ポイント減)などサプライチェーン全体にその影響が広がるなか、自動車部品など「輸送用機械・器具製造」(同10.6ポイント減)の悪化幅は2020年4月(同12.0ポイント減)、2011年3月(同11.2ポイント減)に次ぐ2桁減となった。他方、レンズ・光学機器などが堅調な「精密機械、医療機械・器具製造」(同0.1ポイント減)は微減も、全12業種中唯一50を上回る水準を維持した。また、『製造』の仕入単価DIは66.7と13カ月連続で上昇。金属・木材・樹脂などの価格高騰が続き、仕入単価DIは10業界で最も高い水準となった。規模別:全規模が2カ月ぶりに改善、株価上昇などが「大企業」の改善要因に

企業規模別
「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてが2カ月ぶりにそろって改善した。感染者数の減少で各規模に好材料が表れてきた一方、自動車減産の影響が部品メーカーなどに表れた。「大企業」(42.5):前月比1.1ポイント増。2カ月ぶりに改善。郊外での住宅購入や都市部での貸家業などが活発だったほか、株価の上昇などで『金融』が4.7ポイント増と大きく改善。大手テーマパークの入場者数が上向き始めるなど「娯楽サービス」も改善した。「中小企業」(39.4):同0.6ポイント増。2カ月ぶりに改善。感染者数の減少で人の動きが戻りつつあるなか、広告出稿量が回復してきた「広告関連」は厳しいながらも改善。一方で、自動車の減産で部品メーカーが大きく落ち込むなど『製造』が下押し要因となった。「小規模企業」(38.7):同1.3ポイント増。2カ月ぶりに改善。チラシやポスターなどの特需を受けた印刷業のほか、カメラや時計などが好調で生産・出荷量DIが上向いた精密機械関連が改善。一方『小売』は飲食料品など9業種中6業種が悪化した。地域別:10地域中8地域が改善、新規感染者の全国的な減少がプラス要因に

地域別グラフ(2018 年1 月からの月別推移)
『南関東』『四国』など全10地域中8地域が改善、『北関東』など2地域が悪化した。新規感染者数が大幅に減少するなか、まん延防止等重点措置が解除された6県がいずれも上向くなど、29都道府県が改善。特に都市部周辺での『不動産』の改善が目立った。『南関東』(41.4):前月比1.4ポイント増。2カ月ぶりに改善。域内1都3県が40台を回復し、7年4カ月ぶりに全10地域で第1位となった。『金融』は株価の上昇や高い資金需要などを背景に3ポイント超の大幅改善。『不動産』は郊外の住宅ニーズが高まった。『四国』(38.3):同1.4ポイント増。2カ月ぶりに改善。製造業・非製造業とも好調に推移した「徳島」が大きく改善した。また、「愛媛」「高知」ではまん延防止等重点措置が解除されたなか、イベント関連や建設関連などもプラス要因となった。『北関東』(40.4):同1.1ポイント減。2カ月連続で悪化。「重点措置」が解除となった「山梨」が改善する一方、緊急事態宣言で外出自粛や営業時短などが継続した「茨城」「栃木」「群馬」がいずれも悪化するなど、明暗が分かれた。「長野」は『製造』が下押しした。
 

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