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2021/09/20

山梨・女児不明2年 母、配ったチラシ68万枚 長女の存在支えに

山梨・女児不明2年 母、配ったチラシ68万枚 長女の存在支えに

 山梨県道志村のキャンプ場で2019年9月、小学校1年生だった小倉美咲さん(9)=千葉県成田市=が行方不明になってから21日で2年となる。「またみんなで普通に暮らせる日が戻ってくる」。母とも子さん(38)と姉(12)は、そう信じて美咲さんの帰りを待つ。次女の手がかりを求めて各地で協力を呼びかけ続けるとも子さん。長女の存在が、つらい日々の支えになっている。
 2年前のあの日。7家族で訪れたキャンプ場で、美咲さんは先に遊びに出た子供たちのもとに一人で向かい、姿を消した。「私がちゃんと見ていれば……」。そう悔やむとも子さんは、美咲さんの3歳年上の長女も自分を責めているように感じ「美咲は絶対連れて帰るからね」と約束した。
 負けず嫌いの美咲さんは、姉と一緒に遊んだアスレチックで、ついていこうと張り合った。一方でとも子さんと姉が言い争うと「お姉ちゃんも反省しているから話、聞いてあげて」と気を配ることもあった。
 そんな平穏な日々は一変した。毎週のように各地での捜索や情報提供を求めるチラシ配りに出かけるようになったとも子さん。あるとき、留守番を続けていた長女の変化に気付いた。「私は何もできない」「山梨は嫌い」と、ふさぎ込むことが多くなっていたのだ。
 「この子の『今』は今しかないんだ」。とも子さんはそう思い今春、お出かけを提案した。すると、返ってきたのは「山梨に行きたい」との答えだった。今年4月。久しぶりにキャンプ場を訪れ、長女はかつてテントを張った場所に駆け寄った。とも子さんは、美咲さんを思う長女に「この子も一緒に頑張ってくれているんだ」と感じ入った。
 美咲さんが行方不明になってから、インターネット上でとも子さんらを中傷する投稿が相次いだ。今年3月、とも子さんは発信者情報の開示を求めて裁判を起こした。最近はネット上でも訪問先でも「きっと大丈夫」「応援しているよ」と気遣われるようになった。
 美咲さんを連れて帰るという長女との約束は忘れていない。この2年で配ったチラシは68万枚、山梨と千葉の往復などで車の走行距離は5万キロを超えた。
 「私が頑張らなきゃ」と張り詰めた日々を送ってきたとも子さんだが、近ごろは「長女や多くの人に支えてもらっている」とも実感する。つらいのは自分だけではないということも。2人の娘はこれから多感な年ごろを迎える。美咲さんが帰ってくれば、母親に相談しづらいことがあっても、姉妹で助け合ってくれるのではないか――そう信じている。
   ◇      ◇
 美咲さんの行方不明から2年を翌日に控えた20日、とも子さんはキャンプ場でチラシを配り、利用客らに情報提供を呼びかけた。「美咲には『もうすぐ会えるからね』という思いでいる。一日も早く見つけたい思いは、2年たっても全く変わらない」【田中綾乃】
 「妹にすごく会いたい気持ちや、会えるのが楽しみという気持ち、大丈夫かな、本当に帰ってくるのかなという不安と、いろいろな思いがある」。小倉美咲さんの小学6年生の姉が9月上旬に取材に応じ、思いを語った。
 美咲さんのことは「みー」と呼ぶ。当初は「すぐに出てくるだろう。大丈夫」と思っていたが「だんだん不安な気持ちになった。どうしていいのかわからなくなった」と振り返る。母とも子さんとは「泣かないようにしようね」と約束した。でも半年が過ぎた頃から、急に涙が出たり、悲しくなったりすることが増えたという。
 「みー」がいなくなったことを受け止めきれず、最初は取材に応じるとも子さんを見るのも嫌だった。でも、母親が取材を受けるのは「美咲を見つけるため、みんなが知るきっかけになればいい」と思うからだと知り、考え方が変わった。「私が話すことでもっと(状況が)良くなるのであれば……。本当に、帰ってきてほしい」【田中綾乃】

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