火事や災害発生時の地域防災の要となる消防団員のために、山梨県内の小売店や飲食店などの事業所が消防団員やその家族に対して割引サービスなどの特典を提供する各市町村の「消防団員サポート事業」に協力する事業所数がじわりと拡大している。減少傾向にある消防団員の確保が目的で、県内の協力店舗数は今年4月現在、約800店舗に達しており、市町村や県は今後も拡大させたい考えだ。
県消防保安課によると、20年4月現在の県内の消防団員は1万4655人(前年度比132人減)。人口10万人当たりに換算すると1773人と全国4位の高水準だが、近年は減少傾向にあり、条例定数1万5952人にも届いていない。多発化、激甚化する自然災害発生時の地域防災力の要となる消防団員の確保が課題となっている。
消防団員サポート事業は、市町村が主体となってサポート店を増やす展開をしてきており、県は自治体をまたいで広域的に補完するため16年から協力店拡大を図ってきた。
協力店で消防団員証や専用のカードを提示することで、料金が割引されたり、ドリンクが無料で提供されたりするなど、店舗ごとに定められた任意のサービスが受けられる。県や市町村は「集客効果や地域貢献、イメージアップなど、事業所側にもメリットが期待できる」として今後も協力店を増やしていきたいとしている。【野呂賢治】