内閣府は3日、新型コロナウイルスの新規感染者が多い地域では、雇用の回復が鈍い傾向にあるとの分析結果をまとめた。2021年6月時点で都道府県別の有効求人倍率をみると、20年9月と比べて東京都や大阪府などで戻りが弱かった。地方では堅調に回復している地域が多いため、都市と地方で明暗が分かれる結果が出た。
3日公表した日本各地の経済動向を分析するリポート「地域の経済」で示した。内閣府はコロナ流行後に全国の有効求人倍率が最も低くなった20年9月と、21年6月時点で都道府県ごとに求人倍率(就業地ベース)の回復幅を比較。各地の人口10万人あたりの新型コロナの新規感染者数と合わせ、雇用との関連性を調べた。
有効求人倍率の上昇幅が最も小さかったのは東京都のマイナス0.02ポイントで、全国唯一のマイナスだった。大阪府(0.02ポイント)や千葉県(同)が続くなど、都市部を中心に戻りが鈍かった。上昇幅が最も大きかったのは長野県で0.39ポイントの上昇。山梨県(0.37ポイント)、熊本県(0.34ポイント)が続き、上位には地方が並んだ。
上昇幅の大きさに影響したのが新型コロナ感染者数だ。20年10月から21年6月までの人口10万人あたりの新規感染者数は沖縄県の1259人が最も多かったが、東京(1065人)や大阪(1053人)も目立った。一方、長野県(231人)や山梨県(236人)などは少なかった。
都市部では新型コロナの感染拡大で政府が長期にわたって緊急事態宣言を発令した影響もあり、企業が求人数を絞った可能性がある。一部の地方では景気が回復しつつあり求人を増やす企業も出始めている。都市部で感染拡大が続けば、都市と地方の雇用格差は広がるばかりだ。