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2026/02/08 , ,

寄付金3億円を元手に開業支援 町への「投資」はリターンを生むか

寄付金3億円を元手に開業支援 町への「投資」はリターンを生むか

 山梨県富士吉田市の下吉田地区にある商店街「本町通り」は、レトロな街並みの背後にそびえる富士山を一目見ようと、ここ数年で多くの外国人観光客らが訪れるようになった。シャッター通りだったが、ふるさと納税の寄付金3億円を元手にした「投資」によって、空き店舗が徐々に生まれ変わっている。
 市内でアロマブランド「noi」を立ち上げた別府大河さん(33)と妻の田中麻喜子さん(33)は昨年5月、通り沿いの旧酒店を改装した店舗をオープンした。市の地域活性化にも関わっていた別府さんは「通り沿いのどこかのシャッターを開けて、店をやるんだと考えていた」と振り返った。
 2人は2022年に市内に移住し、富士山麓の森に自生する「クロモジ」の香りに注目。採集した枝葉から精油を抽出し、アロマオイルやスキンケア商品をオンラインショップなどで販売した。香りを体験して購入してほしいという思いがあり、作業場だった自宅も手狭になったことから物件を探した。
 知人に紹介された旧角田酒店は、観光客が多い本町通りと、市役所に向かう生活道路の交差点前に建つ好立地だった。寄付金を原資にした補助金を活用し、店内にもともとあった木製のウイスキー棚を生かした空間に改装した。
 2階にイベントスペースをつくり、体験型のワークショップを開く計画も進む。別府さんは「観光客や地元住民が行き交う場所で、どんな人にも商品を手に取ってもらえるような店にしたい」と目標を語った。
 市は隣接する富士河口湖町などに比べて宿泊施設が少なく、外国人観光客らの滞在時間が短い「通過型観光」になってしまうことが大きな課題だった。本町通りの「本町2丁目交差点」には昨年約86万人が訪れたが、写真を撮影して次の目的地に向かう観光客の姿が目立った。
 市が100%出資する「ふじよしだまちづくり公社」は23年、市の委託で中心部のにぎわいづくりに取り組む個人や団体を支援するファンド事業を始めた。市がふるさと納税型クラウドファンディングで募った寄付金3億円を元手に、下吉田地区などでハード整備に掛かる費用を最大500万円まで助成。昨年末までに、飲食・物販店や宿泊施設の計32件を採択した。
 観光客から人気の趣のある景観を守るため、過度な電飾看板などを禁止するデザインガイドを地区ごとに策定。周囲の街並みに調和した建物にするように求め、審査の基準に盛り込んでいる。
 寄付金はまだ約2億円あり、助成は当初目標の60件を上回る見込みだ。元市企画部長で公社の水越欣一取締役(63)は「来訪者が食事や宿泊をして、長く滞在できる仕組みができつつある。町に稼ぐ力をつけることで地域の活性化につなげたい」と期待する。
 新たな店舗や宿泊施設が定着すれば町中で消費が生まれ、市の税収増にもつながる。寄付金で市民サービスを拡充するだけではなく、中長期的な「リターン」を生み出そうとしている。【野田樹】

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