韮崎・甘利山に咲くレンゲツツジに虫害が発生し、花が枯れる被害が広がっている。県森林総合研究所(富士川町)などによると、「コウモリガ」の幼虫が幹の中身を食い荒らしているのが原因。保護団体が枝の剪定や殺虫剤の塗布に取り組んでいるが、関係者は「範囲が広くマンパワーには限界がある。今後も花を守っていけるか不安だ」と危機感を募らせている。 甘利山の自然保護に取り組む韮崎市のNPO法人「甘利山倶楽部」によると、被害を確認したのはレンゲツツジの見頃を終えた7月ごろ。メンバーが根に木くずがたまっていることに気付き、県森林総合研究所などに相談したところ、コウモリガによる食害だと分かったという。 県森林総合研究所によると、コウモリガの幼虫は大きいもので約7センチ。秋に成虫が地面に産卵し、ふ化した幼虫が成長して木の幹を根元から食い荒らす。木が吸い上げた養分や水分が木全体に行き渡らなくなるため、花が枯れたり、弱ったりする。 甘利山倶楽部は7月以降、小林兵武副理事長(84)らが中心となり、メンバー約20人が週末を中心に、花が枯れた枝を切り落としたり、殺虫剤を塗ったりしている。一方で、レンゲツツジは甘利山の約36ヘクタールに咲いていることから、「人手には限りがあり、全てをカバーするのは難しい」(小林副理事長)のが現状だ。 甘利山のレンゲツツジは最盛期には山頂周辺に約15万株が咲き誇るとされる。市を代表する観光スポットで、見頃となる5~6月には毎年、県内外から多くの観光客が足を運ぶ。小林副理事長は「何としてもレンゲツツジを守らなくてはならない。できる対策を地道にやっていきたい」と話している。
甘利山 レンゲツツジに食害(山梨日日新聞)