ご当地駅弁の代表格とも言われる静岡駅の「元祖鯛めし」(850円)。1897(明治30)年の発売以来、東海道を行き交う人々のおなかを満たしてきた超ロングセラー駅弁だ。東京出張で新幹線を利用した際に購入してみた。小ぶりな見た目とは裏腹に重量感がある。
朱色のタイが描かれた掛け紙を外し、ふたを開けると一面に広がる「タイ景色」。しょうゆ味の炊き込みご飯(さくら飯)の上に、甘く煮付けたタイそぼろがこれでもかと敷き詰められている。小細工なしの潔さすら感じるたたずまいだ。
いざ一口。塩気のあるもちもちのご飯と甘いタイそぼろが実に合い、箸がすすむ。左手の車窓には霊峰富士が顔を出し、右手には雄大な駿河湾が広がっている。1時間弱の電車旅は、鯛めしのおかげでぜいたくなひとときとなった。