武田信玄の隠し湯として知られる下部温泉(山梨県身延町)に、町が日帰り温泉施設を来春に完成させる。外国人旅行者の個人旅行も10月に解禁。低迷が続く温泉街に活気を取り戻す中核施設として、温泉街からも期待の声が上がっている。【山本悟】
日帰り温泉施設は、JR身延線下部温泉駅の北側に隣接する町有地に6月に着工した「しもべの湯(仮称)」。鉄筋コンクリートと木造による2階建てで延べ床面積は2150平方メートル。総工費は13億3400万円。高温泉(49・4度)とぬる湯(20・9度)の2種類の湯を楽しめる温泉施設を配置する。
下部観光協会の依田茂会長(62)によると、下部温泉は持病など心身を治癒させる湯治場として栄えた。NHK大河ドラマ「武田信玄」が放送された1988年度は約38万人だった観光客はコロナ禍の2020年度は約9万人に落ち込んだ。旅館・ホテルは34軒(88年)から現在15軒に減った。