国立公園の新規指定や拡張の候補に挙がりながら、10年以上、実現していない地域がある。規制強化に慎重な地元との調整が難航しているのが主因。環境省が十分な説明抜きで候補地を示すことに疑問を呈する自治体もあり「事前に詳しい話があれば円滑に進むはずだ」との声も出ている。
国立・国定公園といった自然公園の新規指定や拡張は、生態系や特徴的な地形の保全が目的。実現すれば観光誘客が期待できる一方、区域内での工事や土石の採取が規制される。環境省は2010年、候補地のリストを公表し、作業してきた。
ただ選定基準は「自然環境の状態が最優先」(環境省)で、地元の経済活動はあまり重視しない。実現に向けた現地調査や地元との調整も選定後で、国立公園なら環境省が、国定公園は主に都道府県が行う。