マンホールの蓋(ふた)を撮影した数を競い、ゲーム感覚でインフラの保全に貢献しませんか――。横浜、さいたま、千葉など関東地方の主要都市でこんなイベントが催されている。老朽化などで危険な状態になっているマンホールの情報を広く共有し、行政に対応を促すのが狙いだ。【柴田智弘】
イベントは「関東7都市マンホール聖戦」。6月17~26日の10日間、横浜、さいたま、千葉、水戸、宇都宮、前橋、八王子(東京都)の7市にあるマンホールの蓋を撮影し、その状態を専用アプリに登録してもらおうという試みだ。市民の力を活用してインフラ情報の管理に取り組むシンガポールのNPO「ホール・アース・ファウンデーション」と上下水道管の販売業などを営む「日本鋳鉄管」(東京都中央区)が企画した。
参加者はスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、撮影したマンホールの写真と一緒に「ガタつき」や「段差」などの状態を選んで登録する。登録された情報はアプリ内で誰でも見られる。
日本グラウンドマンホール工業会(東京都千代田区)によると、全国には約1500万個のマンホールの蓋がある。このうち約300万個は設置から30年以上経過しているが、行政がその全ての状態を把握するのは難しい。そこで、市民の力でチェックしようというのがこのイベントの趣旨だ。2021年8月から全国の都市で計9回開催されており、これまでに約66万個の情報が登録されている。
17日には上位ランカーたちが千葉市中心部を訪れ、JR千葉駅から千葉公園までの路上でマンホール蓋を探していた。50代の女性は「自治体によって柄が違っていて楽しい。今まで旅行した土地のはどうだったのか気になる」と話し、マンホールを踏みしめて状態を確認していた。
成績上位者には商品券がプレゼントされる。これまで約1万4700個のマンホールを撮影し、2連覇中の40代の女性は「まちを自分で守りたい。ご褒美もあるので頑張れる」と話していた。