山梨県は2021年の県産果実の輸出実績を発表、輸出額が17億円を突破し、08年の統計開始以来、輸出量ともに過去最高となった。県はぶどうやももを中心に、経済成長が続くアジア諸国での認知度の広がりを指摘するが、中国、韓国産の日本品種も出回っており、国際競争力を高め外国産との差別化が課題となっている。【山本悟】
県によると、果実全体の輸出額は17億5600万円で、10億円の大台を超えた前年より63・3%増加。輸出量も1117トンで前年比62・5%の伸び。品目別では、ももが9億9400万円で72・1%増、次いでぶどうが7億5700万円で53・9%増だった。輸出先は香港が81・1%増の11億8100万円、台湾が40・1%増の4億6000万円で両地域で9割を超える。
販売戦略は、SNS(ネット交流サービス)を活用した現地語による情報発信と、現地で影響力のある人を活用した店頭での販売フェアなど、デジタルの情報提供と店舗PRの二方面戦略を展開。特にSNS発信は新型コロナによる巣ごもり需要を喚起し輸出拡大につながったと県は分析した。
県販売・輸出支援課は「海外市場でかなり高く評価され、認知度も相当広がっている」と喜び、今後も高品質の高級品イメージを強調した販売戦略で他のアジア諸国や中国、中東での販路拡大を目指す。
農水省などによると、香港や台湾、韓国のデパートやスーパーでは、シャインマスカットなど日本で開発、育成された日本品種を中国、韓国で生産したぶどうが売られおり、最近はアメリカ産のももも出回っているという。中央果実協会(東京都港区)は「海外の動きを見据え、消費者の認知度を高め購買に導くプロモーションがより必要になってくる」と話した。