再生可能エネルギーの普及を後押ししようと、山梨県などは一般家庭向け太陽光発電設備の共同購入事業に乗り出す。県内は晴れの日が多いなどの要因で日照時間が長いが、太陽光発電の普及は進んでいない。設備を一斉に仕入れることで初期費用を抑えるメリットがあるといい、11日から購入希望者の募集を開始した。
総務省の統計によると、2020年の山梨県の年間日照時間は2250時間で、高知県に次いで全国2位。しかし山梨県が都道府県ごとの戸建て住宅に対する太陽光発電設備の普及率を調べたところ、13・3％で全国11位にとどまる。
太陽光パネルを屋根などに設置して発電すれば電力会社へ電気を売ることができ、自分で使うことも可能だ。併せて蓄電池も導入することで、災害などで停電した場合に備えて電気をためておくこともできる。
ただ、導入に向けては初期費用の高さが大きなハードルとなる。県によると、一般的な住宅用太陽光パネル（出力4・5キロワット前後）で120万円程度は必要という。
こうした状況を受けて県は4月、オランダ発祥の支援会社「アイチューザー」（東京）と協定を締結。同社は19年以降、東京都や神奈川県などで共同購入の実績があり、通常に比べて20％程度、割安な費用で導入できた事例もあるという。
県と同社は今回、太陽光パネルと蓄電池のセット購入など三つのプランを用意。戸建て住宅を持ち、10キロワット未満の発電設備の導入を検討する県民などを対象に、7月下旬から設置費用の見積もりに応じ、希望者は8月末までに購入するかどうかを最終判断する。
県の担当者は「導入に向けた障壁である初期費用を抑えられるので、多くの県民に購入してもらいたい」と期待を込めた。【渡辺薫】
