コロナ禍で打撃を受けている山梨県富士吉田市の織物業者がネコ用の寝床「猫ちぐら」を開発、本格販売を始めた。爪とぎができる屋根の部分だけ外れる構造で、使い減りしたら交換できるのが特長。都留市の段ボール会社と連携した共同プロジェクトで、今後も異業種との連携を進め、新商品の開発に取り組む。
プロジェクトは、富士吉田市の織物製造、光織物有限会社と同市に営業所を置く織物販売会社(東京都)が2020年8月に設けた「ふじやまペットプロジェクト」。光織物の場合、コロナの前後で売り上げが4割減少し、活路を見いだしたのが異業種交流で、コロナ禍などによるペットブームに注目した。
猫ちぐらは、本来は稲わらをドーム型やかまくら型に編んで作った寝床で、長野、新潟両県などで今でも作られているという。開発商品を模索する中で、高価な稲わら製はネコが爪とぎすると、ぼろぼろになって見栄えがよくないとの悩みの声を聞き、爪とぎ兼用の段ボール製を考案。段ボールの加工技術を持つ都留市の製造会社に協力を求め試行錯誤の末、21年10月に試作品を完成させた。
段ボール製は、屋根だけ交換できるほか、段ボール特有の温かみに加え調湿機能により冬暖かく夏涼しいのが特長。段ボールの穴を同じ方向にそろえてあるため、内部にわずかに光りが入り、ネコが落ち着くという。
2月から約1カ月間、試作品を販売する専用サイトで先行販売したところ、予想を大幅に上回る100個の注文があった。4月3日まで4日間、東京ビッグサイト(東京都)で開催されたペット用品の展示会でも「屋根が取り外せて便利だ」などと反響があり、展示会終了直後から販売を始めた。
内部に敷くクッションについても、現在は市販品を使っているが、コストを下げて織物に代用できないか検討している。光織物の加々美琢也社長は「異業種と連携し、本業の織物業と結びつけた新分野に挑戦したい」と意欲を示す。
問い合わせは同社(0555・22・1384)。【山本悟】