故郷の土を踏めずに息絶えた部下、軍旗の残灰、焦土と化した故郷――。76年前の光景が今も神宮寺敬(けい)さん(101)=甲府市下積翠寺町=の脳裏に鮮明に焼き付いている。日中戦争に出征し、戦後は日中友好活動に取り組んできた。年々、戦争体験者がこの世を去る中、平和の尊さを命ある限り、願い続ける。【梅田啓祐】
神宮寺さんは旧制甲府中(現甲府第一高)を卒業し、逓信省に入省。1941年1月には近衛歩兵第5連隊に入隊した。当時20歳。「天皇陛下に忠節を尽くし、命をささげようと心に決めた。当時は名誉であり、男子の本懐と信じていた」。