「鉄道王」と呼ばれ、東武鉄道などの経営に携わった山梨市出身の実業家、根津嘉一郎(1860~1940年)が昭和初期に県下の小学校に贈った「根津ピアノ」を使った演奏会が、都留市小形山の尾県郷土資料館で開かれた。よく調律されたアップライトのピアノは、およそ90年前と同じようにバイオリン、ホルンと響き合い、会場を埋めた市民を楽しませた。【小田切敏雄】
根津ピアノは1930年に根津の郷里の東山梨郡平等(ひらしな)(現山梨市)の小学校をはじめ、33年には県内約200の小学校に贈られ、現存しているものもある。尾県郷土資料館の基となったのは1877年に完工した尾県学校校舎で、西洋建築を模した建築様式でバルコニーがある洋風2階建てのモダンな建物。すでに廃校となっていたが、1973年に校舎の復元工事をし、郷土資料館としている。