自民党、公明党の与党が過半数を大きく超える議席を確保し、日本維新の会が公明を上回り第3党に躍進した衆院選。投開票から一夜明けた1日、当選を決めた候補者は決意を新たに早朝から街頭に立った。閣僚は「責任の重さを痛感」と強調。野党からは政治の刷新への意欲を示す声が上がった。
午前7時半すぎ、山梨2区で4度目の当選を決めた自民前職、堀内詔子氏(56)はピンク色のジャンパーに身を包み、地元の山梨県富士吉田市の交差点に立った。行き交う車に手を振ると、クラクションで応じられる場面もあった。
堀内氏は新型コロナウイルス対策の要ともいえるワクチン相として10月に初入閣したばかり。現役閣僚の立場を追い風に優位に選挙戦を進めたが、「期待に沿って仕事しなければならない責任の重さも痛感した」と表情を引き締める。
3回目のワクチン接種や治療薬の普及などを通じ「コロナの拡大をきちんと抑え込み、経済政策も同時に進めないといけない」と決意を語り、「(閣僚の務めが)地元への恩返しになる」と力を込めた。
神奈川13区で自民の甘利明幹事長(72)との激戦を制した立憲民主党新人の太栄志氏(44)は午前7時前から、神奈川県大和市の駅前に立った。タスキには「挑戦者」の文字。「しっかり頑張っていきます」と通勤客らに頭を下げると、「頼んだよ」などの声を向けられた。
2017年衆院選で甘利氏に敗れてからもほぼ毎日街頭に立ち続けたが、「きょうはいつもの2、3倍反応があった。ようやく実感がわいた」。
政治とカネの問題が相次いだことなどを踏まえ「政治を変えてほしいという有権者の強い思いを感じた」と強調。「やっとスタートラインに立てた。これまで以上に地元との対話を重視していきたい」と語った。
大阪府の小選挙区で立候補した15人全員が当選を決め、兵庫県でも1選挙区で勝利を収めた日本維新の会。大阪7区で勝利した新人、奥下剛光氏(46)は白いシャツにジャケット姿で大阪府吹田市の駅頭に立ち、「頑張ってまいります」と頭を下げた。
維新を立ち上げた橋下徹元大阪市長の特別秘書などを務めた奥下氏。「国会でまっとうな議論ができていないとして、改革政党である我々に期待を託していただいた」と勝因を分析し、「まだ野党なので、現実的にできることを進めたい。今回の結果におごることなく、大阪や日本のためにしっかり結果を残していく」と意気込んだ。