日本全国で空き家は一貫して増え続けている。5年に1度行われる総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2018年の空き家数は849万戸。30年前の1998年から倍以上も増えた。空き家数を総住宅数で割った空家率は、13.6%に達し、およそ7戸に1戸が空き家となっている計算である。
野村総合研究所は2038年の予想として、2つのシナリオを用意している。
ひとつが、2015年に施行された空き家対策特別措置法後と同様に、空き家の取り壊し(除却)が進み、除却率83.2%を前提に置くシナリオ①。もうひとつが、施行前の除却率30.2%を前提に置くシナリオ②である。
①なら2038年の空き家数は1356万戸、②なら2254万戸で、後者では空き家率が31.0%に跳ね上がる。3戸に1戸近くが空き家だ。
空き家=居住者のない住宅、のすべてが問題なわけではない。問題なのは、定義で言うと、空き家のうち、賃貸用や売却用、別荘などの二次的住宅を除く、「その他の住宅」だ。全体の41.1%を占め、「入院などのため長期にわたって不在の住宅」「建て替えのために取り壊す住宅」「区分の判断などが困難な住宅」などが、これにあたる。
建て方別では、共同住宅が56%で、一戸建てが37%。所有者別を見ると、60代以上が78%を占めている。このことから、都市ではマンションやアパート、団地で、郊外では戸建て住宅で、高齢者が空き家の所有者となっていることがわかるだろう。
2038年には3戸に1戸が空き家か