野外音楽フェスティバルが新型コロナウイルス禍で開催と中止の判断が分かれている。24年の歴史を誇る国内最大級の「フジロックフェスティバル」は感染対策を徹底した上で8月に開催したが、ネット交流サービス(SNS)には「医療崩壊」の危機を背景に中止を求める書き込みが相次ぎ、バッシングも強かった。野外フェスは音楽を発信する場だけでなく、地域経済の活性化にも役立ち、この文化が衰退するのは、ファンの一人としては惜しい。コロナ禍でも理解を得ながら、フェスを存続させるためには、主催者や参加者の「自治」と「責任」が鍵になるのではないだろうか。
「新潟に来ないで」「医療はパンク寸前だ」。8月に入ると、SNSへの書き込みが目立つようになった。標的になったのはフジロックだった。コロナ禍で2020年は延期されたが、今年は8月20~22日の3日間、予定通り開かれた。ツイッターでは「#フジロックの中止を求めます」というハッシュタグも付けられ、開催地の新潟県と同県湯沢町にも抗議や問い合わせが殺到。県の担当課の電話はひっきりなしに鳴った。
批判の多くは「こんな時期になぜ、各地から大勢が集まって騒ぐようなイベントをやる必要があるのか」といったものだ。首都圏など都市部を中心に緊急事態宣言が出て、全国で感染者が増え続けていた時期で、不安にはうなずける。
フジロックについては主催者と国、地元自治体が6月ごろから開催に向けて協議を重ねていた。…