山梨県内に適用されていた新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が当初の期限通り12日で解除されることが決まり、県は9日、県独自の新たな協力要請を決めた。重点措置に基づく営業時間の短縮(時短)と酒類提供停止の要請はなくなるが、飲食店で流す音量の制限などを打ち出した。
県によると、新たな要請は「県民向け」「事業者向け」「飲食店向け」「学校向け」などに分かれる。期間は11月30日までで、県内のワクチン接種率が8割に達する時期を想定した。
県民向け要請では、不要不急の外出の自粛要請を解除する。基本的な感染防止対策の徹底や、「三密」のある場所への外出を控えることは引き続き求める。
学校向けでは、分散登校などの要請はとりやめる。一方で、修学旅行や宿泊研修など、児童生徒が共同生活をする機会のある行事は9月30日までは可能な限り延期することを求める。
事業者向けでは、商業施設などへの時短要請は解除する。飲食店についても、重点措置に基づき罰則が科せられる可能性のある時短要請や、アルコール提供、カラオケ使用停止の要請は解除する。
一方で、県独自の措置としてグリーン・ゾーン認証を受けていない飲食店に対しては、「2週間の限定措置」として9月26日まで休業要請を延長する。
認証を受けている店に対しても、店内BGMの音を抑えることや、カラオケは換気扇の下で歌うなどの新ルールの順守を要請する。
県によると、9日時点の直近1週間の感染者数は267人、病床使用率は50・7%、全療養者数は389人で、国の目安では「ステージ4(感染爆発)」の水準となっている。ただ、いずれも先週から減少した。1人から何人に感染するかを示す「実効再生産数」も1を下回り、感染は縮小傾向にあるとしている。
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山梨県の長崎幸太郎知事は9日記者会見し、重点措置の解除について、「事業者の理解と協力で山梨という社会の力強さが発揮された」と述べ、休業要請や酒類の提供停止に応じてきた飲食店などに謝意を示した。今後、経済回復を目指して需要喚起策などを実行するとともに、休業協力金は「できれば来週から支給を始めたい」と話した。
その一方で、グリーン・ゾーン認証を得ていない飲食店に休業要請を続けることについては「経過措置として2週間に限定して要請を継続する。これを契機に認証を取得することを強く推奨する」と説明した。
学校向けの要請に関しては「学習機会や学校活動の機会を保障する観点から段階的に解除する」として、部活動再開のガイドラインなどは引き続き順守することを求めた。
病床や宿泊療養施設を増やしたことには「人口10万人あたりの確保数が全国第4位の高い水準にある。近日中に開設を予定している施設を加えれば全国最高の受け入れ能力を有することになる」との見通しを明らかにした。
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山梨県は9日、新型コロナのまん延防止等重点措置に基づく営業時間短縮の要請に従わなかった飲食店12店舗に対し、時短に応じることを求める命令書を手渡すと発表した。
重点措置は18市町村で12日まで適用されている。県は飲食店に対し、午後8時~翌朝5時には営業しないことを求めており、「12日までの残り期間は要請に応じることを求める」としている。応じなかった場合は20万円以下の過料が科せられる可能性がある。
命令書は9日夜に手渡すが、午後8時時点で閉店しているか、その場で即座に閉店した場合は渡さないこともあるとしている。(吉沢龍彦)