伊豆箱根鉄道駿豆線のターミナル、修善寺駅の名物として知られる「武士(たけし)のあじ寿司(ずし)」。改札横に店を構える「駅弁舞寿し」が手掛ける弁当は、観光客のみならず近隣の人々にも人気だ。両手にすっぽり収まる小ぶりな箱には沼津港から届くアジや、ワサビ、桜葉といった伊豆の食材とともに、家族のストーリーが詰め込まれている。
現店主の武士東勢(たけしとうせい)さん(63)の父・清光さん(故人)と母・ひさ子さん(91)が、修善寺駅前にすし店「舞寿し」を開業したのは65年ほど前。その後、駅長からの熱心な要望もあって、駅弁の販売を始めた。幕の内や助六ずし、サンドイッチ。中伊豆と東京を結ぶ特急「踊り子」の始発駅という地の利もあって繁盛し、東勢さんに代替わり後はすし店をやめ、駅弁に注力するようになった。