政府は25日午前、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の対象地域に北海道や愛知などの8道県を追加する案を専門家に諮問した。発令中の東京や大阪などと合わせて宣言地域は21都道府県に広がる。9月12日まで適用する。
宣言に準じた措置をとる「まん延防止等重点措置」は高知、佐賀などの4県を加え12県になる。宣言か重点措置のいずれかが適用される地域は33都道府県に広がる。
新たに宣言や重点措置に追加する地域は27日から移行する。
西村康稔経済財政・再生相が専門家で構成する基本的対処方針分科会に政府案を諮った。「感染力の強いインド型(デルタ型)がまん延し、重症者数も急激に増加している。医療状況は厳しい」と指摘した。認められれば25日午後に開く政府対策本部で正式に決める。
新たに宣言を出すのは北海道・宮城・愛知・岐阜・三重・滋賀・岡山・広島の8道県で重点措置から切り替える。東京・埼玉・千葉・神奈川・群馬・茨城・栃木・静岡・大阪・京都・兵庫・福岡・沖縄の13都府県は継続する。
重点措置は高知、佐賀、長崎、宮崎の4県に広げる。現在対象の福島・石川・山梨・富山・香川・愛媛・熊本・鹿児島と合わせて12県になる。
政府は混雑した場所への外出機会の半減を求める。百貨店やショッピングセンターなど大型商業施設に入場制限を要請する。人と人の接触を減らす観点から1千平方メートルを超える大型商業施設の人数管理や制限を徹底する。
新型コロナに対応する特別措置法に基づき、都道府県知事の要請に店舗が応じなければ命令に切り替えることもできる。土日の休業など、感染状況に応じた上乗せ措置も可能だ。
飲食店は営業時間を午後8時までに短縮するよう求め、酒類提供は宣言地域で一律停止する。重点措置地域でも原則停止とする。地域の感染が「下降傾向にある」と知事が判断すれば感染対策を徹底する条件で午後7時まで提供可能とする。
菅義偉首相は24日、田村憲久厚生労働相ら関係閣僚と対応を協議した。その後、記者団にインド型の変異ウイルスの感染拡大防止に全力をあげると強調した。「徹底して対応していきたい」と述べた。
政府は医療提供体制の構築、感染防止、ワクチン接種を「3本柱」に据える。臨時の医療施設の確保や酸素ステーションの設置に取り組む。重症化を防ぐための中和抗体薬の使用拡大も進める。