山梨県生まれで富士吉田市で青春を過ごした在日韓国人2世の芥川賞作家、李良枝(イヤンジ)(1955~92年)は37歳で急逝した。没後30年の昨年、芥川賞受賞作「由熙(ユヒ)」やエッセーの「李良枝セレクション」(白水社)や、富士山への思いを含めたエッセー集「ことばの杖」(新泉社)が刊行された。作品の常設コーナーがある富士吉田市立図書館は「郷土に作家・李良枝がいたことを改めて知ってほしい」と話している。【小田切敏雄】
西桂町生まれで9歳の時に、両親が日本国籍を取得し、「田中淑枝」が本名になった。市立下吉田第一小、下吉田中、県立吉田高校3年に進級して間もなく中退、京都に出奔して府立鴨鴨沂(おうき)高校に編入し、観光旅館のフロント兼小間使いも経験したという。