中小企業が成長や新しいチャレンジを行う際、資金調達は欠かせない課題の一つです。
その中でも「補助金」や「助成金」といった“返さなくていいお金”は、非常に心強い制度です。
しかし、多くの経営者の方と話していると、「補助金と助成金って何が違うの?」「どう使い分ければいいの?」といった疑問をよく耳にします。
この記事では、「補助金」と「助成金」の違いと、それぞれの特徴、活用のポイントについて、実務に役立つ形でわかりやすく解説します。
補助金と助成金の最大の違いは“選ばれるかどうか”
まず最も大きな違いは「審査の厳しさ」と「採択率」にあります。
・ 補助金:競争があり、提出された申請内容の中から優れた計画が「採択」される。
・ 助成金:条件を満たしていれば基本的に“もらえる”。審査というより「確認」。
つまり、補助金は選ばれる必要があり、助成金は条件さえ満たせばもらえる可能性が高いということです。
【補助金】成長戦略や投資に使うお金
● 補助金とは?
補助金とは、国や地方自治体が企業の設備投資、新事業、IT導入、地域活性化などの活動を後押しするために支給する「目的のある資金」です。目的達成のために「どんな成果が出るか」が重視されるため、申請には綿密な事業計画書が求められます。
● 主な補助金の例
・ ものづくり補助金:製造業などが新たな設備投資をする際に活用。
・ IT導入補助金:業務効率化のためのITツール導入を支援。
・ 事業再構築補助金:コロナ禍をきっかけに、新たな事業への転換を支援。
■ 補助金の特徴まとめ ■
【助成金】雇用や職場環境の改善に使えるお金
● 助成金とは?
助成金は、厚生労働省や都道府県が中心となって実施している制度で、主に雇用の促進や労働環境の改善を目的としています。労働者を雇用する企業に対して、「一定の取り組み」を行えば受給できるケースが多く、補助金に比べてハードルは低めです。
● 主な助成金の例
・ キャリアアップ助成金:非正規社員を正社員化した場合などに支給。
・ 雇用調整助成金:コロナ禍などでやむを得ず休業させた場合の補償。
・ 働き方改革推進支援助成金:労働時間の見直しや環境改善を行う際の支援。
■ 助成金の特徴まとめ ■
補助金と助成金の使い分け方
では実際に、自社でどちらを使えばよいのでしょうか?以下の視点から検討すると良いでしょう。
● 補助金が向いている企業
・ 新しいビジネスモデルや商品開発をしたい
・ 設備やITに投資し、会社を成長させたい
・ 明確な事業計画と売上見通しがある
● 助成金が向いている企業
・ 従業員の採用や教育にコストがかかる
・ 働き方改革などの制度を整えたい
・ 今すぐ使えるお金を確保したい
知っておくべき注意点
① 補助金・助成金は“後払い”が原則
どちらも一度自社で支出してから、後日精算の形でお金が戻ってくる「後払い型」が一般的です。資金繰りに注意しましょう。
② 手続きが煩雑
提出書類や手続きが多いため、社労士や中小企業診断士、税理士などの専門家にサポートを依頼するのも有効です。
③ 虚偽申請は絶対NG
事実と異なる申請や使い道は、返還命令や企業名の公表など、重大なペナルティがあります。
・おわりに:チャンスを逃さず、戦略的に活用しよう・
補助金や助成金は、企業にとって貴重な「外部資金の獲得手段」です。自社の状況や将来のビジョンに応じて、どちらを活用するか見極めることが大切です。
特に中小企業では、こうした支援策の情報を知らないまま見過ごしてしまっているケースも多く見られます。「申請が難しそうだから…」と敬遠せず、信頼できる専門家と組んで積極的にチャレンジしてみてください。