山梨県(知事:長崎幸太郎)では、12品目の伝統工芸品を「郷土伝統工芸品」に認定しています(うち3品目は国指定の伝統的工芸品)。伝統工芸品産業においては、需要低迷や人材・後継者不足が課題となっており、県では郷土伝統工芸品の産業としての発展及び県内外への理解促進を目的に、平成6年から「郷土伝統工芸品共同展示会」を開催し、12品目の伝統工芸品を一同に集めた展示及び職人による実演、制作体験などを実施しています。
今年度開催の「郷土の誇りを未来へ 山梨県郷土伝統工芸品展」は初めての県外開催であり、全国の伝統工芸品を広く取り扱っている「伝統工芸 青山スクエア」での開催につき、県内外の多くの方に山梨県郷土伝統工芸品を知ってもらう機会となるとともに、首都圏への販路拡大を期待しています。10月28日(金)~11月10日(木)の14日間、12品目の展示の他に、職人による実演や来場者が参加できる制作体験などを実施し、郷土伝統工芸品のPRを行います。
「山梨県郷土伝統工芸品」12品目
【展示会の内容】
●展示会名:「郷土の誇りを未来へ 山梨県郷土伝統工芸品展」
●日 時:10月28日(金)~11月10日(木)11:00~19:00※
(※10月28日(金)は12:00開館、11月10日(木)は18:00閉館)
●場 所:伝統工芸 青山スクエア(東京都港区赤坂8-1-22)
●対 象:どなたでも入場可(制作体験は一部年齢制限あり)
●実施内容:(1)郷土伝統工芸品12品目の展示・紹介
甲州水晶貴石細工、甲州印伝、甲州手彫印章、甲州雨畑硯、甲州大石紬織物
西島手漉和紙、甲州武者のぼり・鯉のぼり、親子だるま、甲州鬼瓦、
市川大門手漉和紙、山梨貴宝石、富士勝山スズ竹細工
(2)郷土伝統工芸品5品目の商品販売
甲州水晶貴石細工:彫刻、ぐいのみ、茶碗
甲州印伝:財布、名刺入れ、ペンケース、ポシェットなど
甲州手彫印章:印章(象牙、黒水牛など)、落款印、ケースなど
甲州雨畑硯:天然硯、蓋付硯、鏡硯、猿面硯など
西嶋手漉和紙:御朱印帳、和紙コーヒーフィルター
(3)職人による実演
甲州手彫印章:手彫印章制作 / 山梨貴宝石:甲州貴石切子制作
(4)制作体験
甲州手彫印章:篆刻体験 / 甲州印伝:印伝印鑑ケース制作体験
西嶋手漉和紙:墨流しで作る御朱印帳体験
※実演、制作体験の詳細は下記「伝統工芸 青山スクエア」の
ホームページをご覧ください。https://kougeihin.jp/event/
※山梨県郷土伝統工芸品の詳細については下記ホームページをご覧ください。
https://www.pref.yamanashi.jp/shouko/kogyo/densan/index.html
【郷土伝統工芸品12品目について】
■甲州水晶貴石細工(国指定伝統的工芸品)
天然水晶を使用した仏像などの室内置物や、ブローチなどの装飾品。山梨県で約1,000年前、御嶽昇仙峡で水晶 の原石が発見されたことから始まります。江戸時代には水晶研磨の技術が高められ、明治時代にかけては水晶に細工を施す技法が生まれました。この水晶の研磨や彫刻の高い技術は、ジュエリー産地山梨の礎にもなっています。
■甲州印伝(国指定伝統的工芸品)
山梨県に400年以上も前から伝わる革工芸品。しなやかな鹿革に漆で模様付けする独特な加工方法で、使い込むほどに手に馴染み、愛着が増します。伝統的な柄に加えておしゃれに使える柄やデザインも多く、世代を問わず人気です。
■甲州手彫印章(国指定伝統的工芸品)
山梨の印章産業の歴史は、御岳山系に良質で巨大な水晶鉱が発見されたことから始まります。明治時代に入り、一般の人々も印章を使うようになると、山梨の印章は江戸時代に築いた行商ルートで日本全国に一気に広がり、その名を広く知られるようになりました。現在では職人によって新しい印材を取り入れた「伝匠印」というブランドが生み出されました。
■甲州雨畑硯
約300年前に早川上流で発見された「雨畑真石」と呼ばれる石材からつくられる雨畑硯は、水分の吸収が少なく、墨おりのよい優れた硯です。実用だけでなく、芸術的作品としても高い評価を得ています。
■甲州大石紬織物
河口湖北岸に位置する大石地区で江戸時代から続く手織による絹織物です。明治、大正のころに改良が重ねられ、現在の大石紬となりました。大石紬は丈夫で軽く柔らかく、また堅牢で、綿織物と紬織物の良さを併せもつ独自の風合いがあります。
■西島手漉和紙
武田信玄の任により誕生し、さまざまな技術や素材の改善を経て生み出された和紙で、独特の墨色の発色やにじみ具合、筆ざわりが特徴です。書道半紙やブライダル用紙などの高品質な和紙を作っています。
■甲州武者のぼり・鯉のぼり
武士の旗差物から始まった武者のぼり。山梨でも江戸末期頃から、我が子が武田信玄公のように強く大きく育ってほしいという願いを込め、勇敢な武者絵巻として端午の節句ののぼりとして立て始められました。江戸時代から変わらぬ技法で、綿100%の生地に、下絵も当時のものを使用してすべて手作業で染め上げています。
■親子だるま
約400年の歴史を持つ、全国でも珍しい子どもを腹に抱えたユニークなスタイルのだるまです。子なのにヒゲがあるのは、親よりも立派になってほしいという親心から。独特な愛らしい姿で人気を集めています。
■甲州鬼瓦
南アルプス市若草の加賀美地区で江戸時代中期から作られている鬼瓦は、伝統技法を用いてすべて手作りしています。厳しさと優しさがミックスされた表情が人気。大小さまざまなサイズがあり、一家のお守りとして好評です。
■市川大門手漉和紙
起源は平安時代にさかのぼり、中世末からは武田家の御用紙として、江戸時代には幕府の御用紙として保護され発展しました。楮、三椏を原料に美術紙、画仙紙などを漉いていて、ぶどうの樹皮を用いた新しい紙づくりも行われています。
■山梨貴宝石
熟練した職人の手により、何通りもの工程を経ながら水晶の原石を磨き上げることから生まれる美しい宝石。リングやペンダント、ネクタイピンなどさまざまなものが作られています。
■富士勝山スズ竹細工
富士北麓に江戸初期からこの地域に伝わるザル作りは、富士山二合目付近に自生しているスズ竹を使います。細かい目としなやかな曲線を描くザルは繊細でありながらしっかりとしていて、実用品としてもインテリアとしても人気です。