存続が危ぶまれている「石和温泉
芸妓(げいぎ)
」の魅力を知ってもらおうと、地元住民や観光客に向けた公演会が3、4日夜に笛吹市石和町松本の
大蔵経寺(だいぞうきょうじ)
で開かれた。両日で計約250人が訪れ、華やかな舞に大きな拍手を送った。(木村誠)
約60年前から同市の石和温泉の華として活躍してきた芸妓は、宴席で舞踊や長唄、三味線といった伝統芸能を披露してきたが、温泉街の衰退とともに減少。最盛期の1970年代には600人以上いたが、現在では10人程度となり、後継者不足が深刻化している。
芸妓の文化を後世に伝えようと市観光物産連盟が公演会を主催し、県などが支援した。会場となった大蔵経寺は、奈良時代に創建されたと伝わる
古刹(こさつ)
。境内の日本庭園に特別な舞台を設け、木々や池、枯れ山水をライトアップする演出をほどこした。
公演では、「武田節」「風林火山」といった県ゆかりの民謡や、江戸時代に発祥した端唄「かっぽれ」など10曲を披露。闇夜に照らされた庭園を背景に、芸妓が三味線の演奏に合わせてあでやかに舞った。
来場者には、県などが作成した解説チラシと歌詞カードを配布。観客は踊りに合わせてかけ声をかけたり、曲を口ずさんだりして夜のひとときを楽しんでいた。
出演した芸妓の川端百加利さん(56)は「こんなに大勢の前で踊るのは数年ぶりで感動した。これを機に温泉を訪れて宴席にも呼んでもらいたい」とほほえんだ。
同連盟や県などは、来場者アンケートなどを基に改善を図り、今後も公演会を開催していく方針だ。同連盟の担当者は「課題となっている石和温泉の再興に向け、芸妓を観光資源の一つとして活用していきたい。今後の公演で芸妓の新たな担い手も発掘できれば」と話した。