日本酒の国内消費が冷え込む中、2021年の輸出数量・輸出金額が過去最高を記録したことをご存じでしょうか。
とくに高級酒の消費の伸びが目覚ましく、それを受けて日本国内でも日本酒が再注目されつつあります。
前回記事(過去最高!高級日本酒がじわじわ売れ始めたワケ)に続き、その動向を分析します。
今までワイン派だったけれど今一度飲んでみよう、最近飲んでいないがもともと好きだったことを思い出した――といったふうに、興味を持つ人が増えてきているように感じます。
世界的にアルコール離れが進む中で盛り上がる日本酒ブーム。振り返れば、海外での日本酒ブームの火付け役は、「十四代」や「黒龍」といったプレミアム価格のものでした。
「十四代」は、画一的な吟醸淡麗系の日本酒ばかりの時代に米の酒らしい旨味を前面に、影響力のある酒販店とともに販売展開することでプレミアム化に成功し“平成の幻の酒”としての地位を確立しました。
「黒龍」は、平成元年(1989年)に「石田屋」を発売しています。当時でも1万円(720㎖)という価格。日本酒は安価なものという常識を覆した高級日本酒のはしりです。2018年には業界初の試みとなった、ヴィンテージ違いの熟成酒セットをバイヤー向けに入札販売するなどチャレンジも目を引きます。
海外の富裕層にはこういった蔵情報に加え、「高い酒はいい酒」という独自の判断基準をもとに、金額に糸目をつけず購入する動きもあり、オークション的に、プレミアム価格の高騰に拍車をかけています。