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2022/03/19 ,

「ワインの父」生みの苦労 甲州市教委 高野正誠生誕170年で調査 ブドウ園開設に奔走

「ワインの父」生みの苦労 甲州市教委 高野正誠生誕170年で調査 ブドウ園開設に奔走

 甲州市教育委員会は、「日本ワインの父」と呼ばれた高野正誠(1852~1923年)の書簡や、著書「
葡萄(ぶどう)
三説」に関する調査研究結果を発表した。高野は、フランスのような大規模ブドウ園を山梨に開設しようとしたが、出資を依頼した資産家から「ブドウを栽培する意味が分からない」と断りの書簡を返されるなど“創成期の苦労”を味わっていたことが新たに確認された。(上原三和)

 今回の調査研究は、同市出身の高野の生誕170年を記念して行われたもので、市内の高野家で新たに見つかった約160通の書簡などについて調べた。
 高野は、1877年に設立された日本初の民間ワイン醸造所「大日本山梨葡萄酒会社」の伝習生としてフランスに派遣され、ブドウの栽培やワインの醸造技術を習得。帰国後の79年に、甲州種のブドウでワインの醸造を開始した。90年にワインの概要書「葡萄三説」を刊行し、翌年から東京で、大規模なブドウ園を開設するための資金集めに奔走した。
 高野は貴族や資産家などの有力者へ、資金募集の趣意書と開設計画書、葡萄三説の3点をセットで送付したが、大半から「面識のない人からの依頼は受けられない」「ブドウを栽培する意味が分からない」などにべもない断りの書簡を返されていた。
 だが、計画書には現代のクラウドファンディングのように、出資者がブドウやワインを割引価格で購入できることも記されていた。
 同市教委の小野正文文化財指導監は「当時、ブドウは一般的な果物ではなく広く理解を得られなかったのでは。発想は先進的なものだった」と評価した。
 また、計3編から成る「葡萄三説」については、栽培やワイン醸造の指南書として普及した第2、3編に対し、あまり知られていない第1編「葡萄園開くべき説」を精読。多品種のブドウを栽培してワイン造りに適した品種を選別したいとの思いや、農業で勝沼を豊かにしたいとの志が記されていたという。

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