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2022/02/27 ,

昆虫食、食べて考える 山梨の大学生、意を決して…試食会

昆虫食、食べて考える 山梨の大学生、意を決して…試食会

 コオロギせんべいにゲンゴロウの素揚げ、ミミズジャーキー。昆虫食が注目を集めている。大型ショッピングモールの店舗に並び、専用の自販機も登場、予想以上に好評だという。余った食品が廃棄されるフードロスが問題化するほどの飽食の時代に、なぜ昆虫食か。SDGs(持続可能な開発目標)を学ぶ入り口として、山梨県内の学生が企画したオンライン試食会をのぞいてみた。【山本悟】
 「スナック菓子感覚で食べられた」「最初は抵抗あったが川エビ風味でおいしかった」。県立大と山梨英和大の合同授業の受講生4人が企画運営し、2月19日に甲府市内で開いた地域交流会。オンラインで参加した10人が、事前に袋詰めで送られたコオロギの粉末を混ぜたせんべいとコオロギを油で揚げただけの素揚げの2種類を試食し、大方好評だった。
 国連食糧農業機関(FAO)が2013年、世界の人口が増え続けることによる食糧危機の解決策の一つとして、昆虫の摂取を提唱する報告書を公表し大きな反響を呼んだ。
 昆虫食はたんぱく質や鉄分、ミネラルが豊富で栄養価が高く、低脂肪とされる。森林破壊につながる牧草地などを必要とする家畜と異なり、昆虫の飼育には土地や水、飼料も少量ですむことから環境負荷が少なく、多額の投資が必要ないことから貧しい国でも取り組めるなどSDGsにも貢献するといわれる。
 試食会は「SDGsの理解の突破口としてインパクトが必要だ」と4人が企画し、「やまなし地域づくり交流センター」(甲府市)が主催。試食会には県内外の学生や大学教員、農家が参加した。
 試食の感想以外でも「(昆虫食に)親しむためにも知ることが大事だ」「食糧危機や環境悪化の防止策の一つの選択肢になる」など評価する意見のほか、「食べやすくするための工夫や研究が必要だ」などの声もあった。
 企画した学生の一人で試食会で初めて昆虫食を口にした県立大3年、高橋レナトさん(21)は「口に合わなかったが、(試食会後に)食材に関心を持つようになり、食糧問題の記事にも気を止めるようになった」と話した。
 昆虫食は県内でも広がりを見せている。昭和町の無印良品イオンモール甲府昭和では1年ほど前にコオロギせんべいを発売。納品後、2週間程度で完売し「今でも反響が続いている」という。
 普段は居酒屋を経営している清水ゆりさん(42)夫妻=中央市=は2021年11月、昭和町のJR身延線常永駅前に専用自動販売機を設置。体長約4センチのゲンゴロウやオオコオロギ、イナゴの素揚げなど13種類を東京や長崎のメーカーから仕入れて販売している。
 ピーナツの風味がするオオスズメバチの乾物が最も売れ行きが良く、エビ風味のフタホシコオロギの素揚げが2番人気、清涼感の強いタガメのエキス入りサイダーも売れ筋だという。
 駅を利用する20代前後の若年世代が興味本位、話題性で購入しているらしいが、ビールのつまみに買うリピーターもいる。月に約200個、多い時は300個の売れ行きだ。
 県内でもかつて、イナゴの甘露煮やつくだ煮などたんぱく質を補う食虫文化があった。清水さん夫妻も30年前までイナゴやハチの幼虫を炒めたものを両親から勧められて食べた記憶があるという。
 昆虫食を県内でも広めようと普及団体も登場している。山梨大大学院の野垣佳佑さん(23)は学生仲間3人で「PUPAL」を21年9月に結成し、JR甲府駅北口で毎週第3日曜日に露店を出店。セミの幼虫の素揚げや、「ビーフジャーキーと同じ食感」(野垣さん)のミミズのジャーキーまで販売している。
 ブームの背景について、野垣さんは「始めは取っつきにくいが、食べてみると意外においしいのが昆虫食。固定観念にとらわれず、珍しいもの好きの若者世代が話題づくりにスナック感覚で食べている。若者の格好のコミュニケーションツールになっている」と話した。

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