山梨県警組織犯罪対策課は13日、甲府市の無職の80代女性が、警察のおとり捜査を装った電話を使った特殊詐欺の被害に遭い、口座から計2750万円を引き出されたと発表した。県警は「検挙のため『だまされたふり作戦』への協力を依頼することはあっても、警察が現金やキャッシュカードを求めることは絶対にない。求められたら110番通報してほしい」と注意を呼び掛けている。
同課によると、昨年11月17日、被害女性に市職員を名乗る男から「不審な電話があったら県警のコールセンターに電話をかけるように」とセンターの電話番号を伝える電話があった。女性は直前に孫を装う男から特殊詐欺と思われる電話を受けていたことから、伝えられた番号に連絡したところ、警察官を装う男から「警察のおとり捜査に協力してほしい」と言われた。
数日後、女性に孫を装う男から電話があり、警察官を装う男から「相手の言う通りにしてほしい」と言われていたため、孫を装う男の指示通り、12月3日、キャッシュカードを指示された埼玉県内の住所に送り、暗証番号も伝えた。さらに22日、同じ孫を装う男から「キャッシュカードを紛失したから再発行して送ってほしい」と言われたため、再発行したカードを指示された千葉県内の住所に送った。
今年6月下旬まで連絡が取れる状態だった警察官を装う男と、7月に入り連絡がとれなくなったため、女性が甲府署に相談。詐欺被害に遭っていたことが発覚し、8月12日、同署に被害届を提出した。
県警が2枚のキャッシュカードの口座を調べると、昨年12月から今年1月までの間に、数十回にわたり現金計2750万円が引き出されていることが判明した。県警によると、警察の捜査を悪用した電話詐欺の手口が明らかになるのは県内初。被害額は今年発覚した被害では2番目に多いという。【田中綾乃】