山梨県山梨市立中学で教諭に髪を切られ精神的苦痛を受けたなどとして、元女子生徒(19)が同市に約770万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11月30日、甲府地裁であった。鈴木順子裁判長は「保護者に髪を切ることの確認を怠った。方法や対応も適切とはいえない」などとして市に11万円の支払いを命じた。
判決によると2016年6月7日、中学2年だった元生徒は母親に髪を切ってもらったが、毛先がはねるなどした状態だった。翌日、学校で女性教諭に、母親から教諭に髪を整えてもらうよう言われたと伝えた。教諭は、廊下で工作用のはさみを使いカットしたが、保護者に確認をしなかった。その後、元生徒は同級生から髪形について「キモい」などと言われ、帰宅後、母親に「泣きたい」などと訴え、翌日から不登校になった。
鈴木裁判長は元生徒の同意があったことは認めたが、廊下でカットしたことなどは「自尊心が傷つけられる可能性のある方法で不適切」と指摘。女子中学生にとって髪は重大な関心事で、一般的に、中学生が教師に逆らえない立場であることなどを考慮すれば「保護者に事前に確認する必要があった」とした。【田中綾乃】