関東財務局は27日に発表した管内(1都9県)経済情勢で、10月の総括判断を「新型コロナウイルスの影響により厳しい状況にあるなか、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しつつある」として、前回7月時点の基調判断を据え置いた。東京都は9月以降、感染状況が急激に改善し、経済活動が活発になっていることから、2020年10月以来1年ぶりに総括判断を上方修正した。他の9県はいずれも判断を据え置いた。
白川俊介局長は東京の判断を上方修正した理由について、「東京はサービス業やインバウンド(訪日外国人)頼みの業種が多いため経済の回復が遅れていたが、感染状況の改善もあって遅まきながら回復の兆しが見えてきた」と指摘した。
項目別では、個人消費の基調判断を「コロナの影響が見られるものの、緩やかに持ち直しつつある」として7月の判断を据え置いた。スーパーや百貨店の販売額は前年を下回るものの、足元では緊急事態宣言が解除された影響で景況は改善傾向にある。これまで苦境だった宿泊業界からは「宣言が解除されてから予約は確実に増えている」など、前向きな反応が目立ってきた。
生産活動では「緩やかに持ち直しつつある」の判断を「持ち直しに向けたテンポが緩やかになっている」と下方修正した。東南アジアの感染拡大によって電気機械などで部材調達に遅れが生じているほか、半導体不足も生産活動に影を落としている。
白川局長は先行きについて、「ワクチン接種が進む中で景気が持ち直すことが期待されるが、サプライチェーン(供給網)の影響や感染症の動向を注視する必要がある」と述べた。