日銀甲府支店は15日発表した10月の金融経済概観で、山梨県の景気判断を9カ月連続で据え置いた。「新型コロナウイルス感染症の影響から、サービス消費を中心に引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している」との表現も維持した。
水野裕央支店長は先行きについて「製造業は半導体関連を中心に回復が継続するが、部品の調達難などの供給制約は注視が必要だ。飲食や宿泊などの対面型サービスは当面厳しい状態が続くとみられるが、首都圏の緊急事態宣言が解除されたことは、回復に向けた前向きな材料だ。ワクチン接種も進展し、感染の落ち着いた状況が続けば緩やかに回復していく」と述べた。
項目別では「生産」のうち「汎用・業務用機械」を12カ月ぶりに引き上げた。「米国向けや国内の半導体・電気機械向けを中心に受注や生産の増加がはっきりと継続していることが確認できる」という。
生産全体では「中国や米国向け輸出を中心に、半導体関連を中心に受注が増加し、業種間や協力会社への裾野を広げつつある」とした。輸送機械は「半導体不足や東南アジアの感染拡大による部品供給制約に伴い自動車メーカーの減産の影響を受けているが、県内への影響は現時点で限定的」という。
「個人消費」は判断を据え置いたものの、9月に加えた「足もとは下押し圧力が強まっている」との表現を削除した。「モノの消費は堅調だが、対面型サービスは低い水準で一進一退を繰り返しており、判断を引き上げるほどではない。観光全体では厳しく、県民の行動は慎重で宴会需要も低調だが、県外からの観光客は戻りつつあり、下押し圧力は和らぎつつある」とした。