山梨県がまとめた2021年夏山シーズン(7月1日~9月10日)の同県側の富士山保全協力金(入山料)徴収率は65.2%と、19年(67.2%)に比べ2ポイント低下した。平均の61.4%を上回ったが、目標の70%には届かなかった。
山梨側の吉田口登山道8合目の登山者数は5万4392人(環境省発表)と、新型コロナウイルスの影響で19年に比べ63.7%減った。このうち協力者は3万5464人と19年比64.8%減で、金額も3538万7023円と同64.7%減った。
県世界遺産富士山課は「新型コロナウイルス対策で検温や体調確認をした後に協力を求めたため応じてくれる人が多かった。ただ、参加者全員から協力金を受け取っている富士登山競走が中止になり、例年、協力金に好意的なツアーが一部組まれなかったことなどが影響した」としている。
同課は「協力金は救護所や仮設トイレ、下山道の整備などに使っており、安心・安全に登山を楽しんでもらうためにも協力してもらいたい」と話している。
入山料を巡っては、法定外目的税として義務化する検討が進んでいる。山梨、静岡両県などでつくる「富士山世界文化遺産協議会」では、一定のエリアに入域条件を課して手数料と入山料を徴収する仕組みを優先案として制度設計に向けた議論をしている。