山梨県は17日、富士川流域の水質調査の結果、検出された物質は人や水生生物への影響がない量だったと発表した。世界保健機関(WHO)などの指標を十分に下回っていた。山梨県などは、富士川に堆積する泥から上流で不法投棄された汚泥と同じ成分が検出されたとの一部報道を受けて水質調査を進めてきた。
調査は7月28日、山梨・静岡両県と国土交通省が17地点について実施した。県によると、国交省が水質調査した山梨県内の2地点で1リットル当たり5ナノ(ナノは10億分の1)グラムのアクリルアミドモノマーを検出し、川底の泥を調査した同県内の2地点で1グラム当たり0.2ナノグラムを検出した。両県が調査した地点ではすべて計測できる下限値を下回った。
アクリルアミドモノマーは毒性があるとされ、凝集剤などに含まれるアクリルアミドポリマーが分解してできると指摘されている。WHOはアクリルアミドモノマーについて、飲料水の水質ガイドラインで1リットルあたり500ナノグラムを生涯飲み続けても安全な水準とし、厚生労働省が水道水の目標としている値も同じで、今回の検出量はいずれも100分の1だった。
環境省は水生生物への影響が表れないと予測される濃度を1リットルあたり4万1000ナノグラムとしており、その8千分の1程度だった。
山梨県などは、季節により変動する河川の水量が物質の検出量に影響するかどうか確認するため、10月と2022年1月にも同様の水質調査を実施する。