自治体間の返礼品競争が過熱するふるさと納税。特産品を送るだけでなく、現地を知り足を運んでもらう工夫で、多くのリピーターを獲得している市が富士山のふもとにある。2024年度は全国上位の100億円超を集めた。寄付者の心をつかんだ「こだわり」とは。【野田樹】
10月下旬の週末、山梨県富士吉田市の遊園地「富士急ハイランド」の芝生広場は家族連れなどでにぎわっていた。この日集まったのは、市にふるさと納税をした約2000人。返礼品事業者や仲介サイトが出展するブースが並び、寄付金受領証明書の特大パネルの前で記念撮影できるコーナーも設けられた。
市は24年から寄付者を対象に、市民も参加して交流を深めるイベントを開催している。2回目の参加という東京都日野市の介護支援専門員、山下彰信さん(53)は「富士吉田に足を運ぶ良い機会になっている。今後もふるさと納税を続けて関わりたい」と満足そうに語った。